社説:原子力規制委人事 国会同意は不可欠だ
毎日新聞 2012年09月09日 02時32分
原発の再稼働に関する安全基準の法制化や稼働から40年で原発を廃炉にするルールの運用、原子力防災体制の見直し、原発に影響を及ぼす疑いが相次いで浮かんだ活断層の徹底調査など、規制委が取り組まなければならない仕事は山積している。事務局として規制委を支える原子力規制庁の組織作りも重要だ。
初代委員長候補の田中俊一・高度情報科学技術研究機構顧問は、内閣府の原子力委員会委員長代理を務めるなど原発推進の立場にあったが、8月に開かれた衆参議院運営委員会の所信聴取では、活断層が新たに確認された原発は停止させ、「40年廃炉ルール」を厳格に適用すると強調した。その後も、同運営委の理事会に「(電力)事業者と一線を画した規制行政を必ず実現する」と表明する書面を提出している。規制委発足後は、意思決定過程を公開し、透明性の確保に努めてもらいたい。
国会が設置した福島第1原発の事故調査委員会は、原子力規制当局を監視する常設委員会等を国会に設置することを提言した。国会には、事故調の提言を受け止め、選挙よりも国民の健康と安全を最優先にした対応をとることが求められている。