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家が会社に近いほど“おトク” 手厚い住宅手当、その狙いとは?

産経新聞 9月8日(土)18時5分配信

家が会社に近いほど“おトク” 手厚い住宅手当、その狙いとは?
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仕事と自分の時間の両立で、和気あいあいとしたコンビーズのオフィス=大阪市北区(松村信仁撮影)(写真:産経新聞)

 サラリーマンなら誰でも避けたい“通勤地獄”。しかし、そうはいっても、都心に住めば住居費がかかる…。そろばんを弾けば、苦痛を我慢するのが現実だ。「会社の近くに住めたら」なんて夢…と、あきらめるのは早いかも。そんな夢をかなえてくれる会社が大阪市にある。インターネットを使ったマーケティングを手がけるコンビーズが導入している「ご近所さんトクトク制度」。自宅が会社に近いほど住宅手当が厚いという、なんともありがたい制度なのだ。

 「通勤時間が片道1時間とすると、月20日出勤すれば40時間にもなる。これだけの時間を無駄にするよりは、その時間を有効に使ったほうがはるかにまし」と、平井武社長は制度のねらいを話す。平成19年12月に導入した。

 さて、いったいどんな制度なのだろう。

 同社の本社は大阪市北区堂島浜。まさに都心のまっただ中。本社と自宅の直線距離が2キロ以内なら3万円、2キロを超えて3キロ以内なら2万円、3キロを超えて4キロ以内なら1万円の住宅手当が毎月支給される。

 ちなみに本社から2キロ以内だと北浜や中津、福島など、4キロ以内では心斎橋や京橋あたりまで含まれ、意外と広範囲にわたる。

通勤時間の短縮で、退社後に余裕の本選び

 15人の社員のうち、現在7人がこの制度を利用。入社4年目でウェブデザイン制作を担当する山川朝美さん(26)はその1人で、入社の際、人事担当者から制度の説明を受け、会社から徒歩30分、福島区内のマンションを探した。

 山川さんは「3万円コース」。「歩く時間は長いのですが、途中からずっと地下道で来られるので、雨の日でも通勤は楽ですね」と話す。都心部ならではの通勤事情だ。

 山川さんの勤務時間は、通常午前10時から午後7時まで。仕事後の楽しみは近くの書店での本選びだ。仕事柄、コンピューターやデザインに関する本を探すことが多いが、自宅が近いので十分に時間をかけられるという。

 「自宅に戻ったら掃除、洗濯、炊事…。日常のこともきちんとしたいし、仕事と両立させたい。それには少しでも時間がほしい。会社から近くに住めることはありがたい」と話す。

 インターネット関連企業は長時間の残業が当たり前というイメージがある。この制度の導入も、そうした事情からなのかと思ったら、理由は別のところにあった。

 同社では午後10時以降も残業する人はほとんどいない。社員1人あたりの月平均残業時間は多いときでも30時間程度という。業界内でも少ない方だ。

「仕事も自分の時間も大切に」と平井社長

 社員は全部で15人の小所帯。平井社長も社員と同じ部屋で一緒に仕事をするため、普段からお互いにどんな仕事をしているのかがわかる。仕事が多いときは、自然とお互いに手伝う習慣になっている。

 デザイン制作などは創造性が求められるだけに、時間をかけたからといって、必ずしもいいものができるわけではない。「ご近所さんトクトク制度は、仕事と自分の時間とのバランスを考えた上でのこと」(平井社長)と話す。

 これが制度導入のねらいだった。短縮した通勤時間を、すべて仕事につぎこんでもらおうというわけではないのだ。

 同社には月に1回、無作為で選ばれた4人が一緒に昼食をとる「ランチDEデート」という試みもある。社内のコミュニケーションの活性化がねらいで、仕事のことに限らず、プライベートなことも含め、気兼ねせずに話せる雰囲気づくりに一役買っている。

 この試みも含め、「あくまで社員1人1人の個性を最大限に生かし、思う存分仕事をしてもらうためのもの。ワークライフバランスのために、少しでもよい職場環境作りに取り組んでいきたい。それが私の仕事です」と平井社長は話す。

◇会社データ◇

本社=大阪市北区堂島浜1丁目4−19 マニュライフプレイス堂島ビル5F

設立=平成14年3月

事業内容=メール配信サービスなどインターネットを使ったマーケティング支援

従業員=15人(平成24年7月末現在)

最終更新:9月8日(土)19時38分

産経新聞

 

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