集中治療室（ＩＣＵ）から一般病棟に移った。命にかかわるケガでなくファンもほっとしただろう。歌舞伎俳優の市川染五郎（３９）が舞台公演中に約３メートル下の奈落に転落した事故だ。父の松本幸四郎（７０）によれば、右側頭部と右半身の打撲、そして右手首を骨折し、入院加療中である。

　事故は８月２７日、幸四郎の古希記念舞踊公演「松鸚会（しょうおうかい）」の初日に起きた。１部が終わろうとする頃、セリが下りていることを認識しながら、勢い余って後ろに下がりすぎ落下してしまった。

　演出と思った客も少なくなかったようだが、奈落は大変なことになっていた。幸四郎が「血の海で、一瞬（死も）覚悟した」と打ち明けたほど。首の骨が折れてでもいたならばさらに深刻な事態になっていた。幸四郎は「（染五郎は）普段から体を鍛えており、とっさに受け身をとったんでしょう」との見方を示し、大事に至らなかったことに目を潤ませた。