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セシウム、地下浸透せず 飯舘村で田んぼ除染実験
 | 田んぼから排出した泥水をためた溝。干上がった後に、セシウムの移動を調べた=4月末、福島県飯舘村佐須 |
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福島県飯舘村で農家と研究者らが実施した田車(除草機)による田んぼの土の除染実験で、排出した泥水を溝にため、干上がった後の土壌を調べた結果、セシウムが深さ6〜7センチ以内に固定され、地下に浸透していないことが分かった。除染作業後の廃土は、処分場選定が課題となっており、研究者は「そのまま現場に埋設処理することが可能になる」と話す。
調査したのは、溝口勝東大教授(土壌物理学)ら同大「福島復興農業工学会議」のグループ。日本学術会議の「学術の動向」10月号に発表する。 田車実験は、同村佐須の農業菅野宗夫さん(61)と首都圏などの科学関係者らのNPO法人「ふくしま再生の会」(田尾陽一代表)が4月、菅野さんの田んぼで行った。 手押し式、自走式の除草機で深さ5センチまでの土を泥水にし、土に付着したセシウムを泥水ごと外に排出する。最大で81%の除染効果を挙げた。 排出した泥水は隣の田の一角に設けた深さ1メートルの貯水溝にため、水が干上がった7月、セシウムの移動を調べた。 U字形の溝の底から下に20センチ、溝の側面から横向きに深さ15センチの土を1カ所ずつ採取。1センチごとにセシウムの濃度を測った結果、セシウムが浸透したのはいずれも6〜7センチ以内だった。 村内の土壌には、セシウムを固定する性質を持つ雲母類が粘土中に多く含まれる。「セシウムを固定した粘土粒子は、土壌のろ過作用で移動途中にことごとく捕捉され、地下への浸透がブロックされる」と溝口教授。 除染作業後の廃土の処分場選定が難しい中で「除染した田んぼの一角に溝を設け、その場で埋設し、汚染されていない土で覆う方法が可能になる。深さ1メートルの溝に埋めると想定すると、溝の面積は田んぼの10%で十分だろう」と話す。 溝口教授らは村内の森林や宅地6カ所で、降水量や放射線量、山林からのセシウム流出などを常時測定する「環境モニタリング」をしており「下流地域の住民の不安解消のために、埋めた廃土を監視し続ける対応も必要」と提案している。
2012年08月31日金曜日
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