認知症急増 初の5か年計画を策定9月5日 16時53分
認知症の高齢者が急激に増え続けていることから、厚生労働省は、対策の5か年計画を初めてまとめました。この中では、専門家のチームが高齢者の自宅を訪問し、早期の診断や支援につなげるなどして、認知症になっても地域で暮らし続けられることを目指すとしています。
厚生労働省の推計によりますと、介護を必要とする認知症の高齢者の数は、ことし全国で305万人と、10年前の2倍以上に増えていて、5年後の平成29年には373万人、8年後の平成32年には400万人を超えて急激に増加する見通しで、認知症の高齢者を受け入れる施設が足りなくなることも予想されます。
このため、厚生労働省は、認知症になっても地域で暮らし続けられることを目指して、早期に診断し治療につなげるとともに、本人や家族に必要な支援を行うことなどを柱とした来年度からの対策の5か年計画を初めてまとめました。
この中では、看護師や作業療法士などの専門家による「初期集中支援チーム」を新しく作り、高齢者の自宅を訪問するなどして、認知症の疑いがあれば専門の医療機関を紹介するとともに、認知症の症状への対処のしかたをアドバイスするなど家族への支援も行うとしています。
こうしたチームを来年度全国に10か所程度設置し、5年後までに全国に広げるとしています。
また、地域で認知症の早期診断ができる医療機関が不足していることから、現在の173か所からおよそ500か所に増やすほか、かかりつけ医などを対象にした認知症の研修を強化するということです。
厚生労働省は、こうした計画で、5年後には今より37万人多い186万人の認知症の高齢者が、地域で暮らし続けられるようにしたいとしています。
“人材育成が急務”
今回の計画について、日本認知症ケア学会の本間昭理事長は「認知症の早期診断によって、早くから薬などの治療を行ったり、必要な介護サービスを受けたりすることで認知症の進行を遅らせることができる。また家族を支援することで、介護の負担を減らし、在宅での生活を長く続けることができるため、初期の段階からの支援が重要だ。しかし、支援のための専門家は不足しているため、今後、認知症に詳しい医療や介護の人材の育成を急ぐ必要がある」と話しています。
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