[米総領事暴言]認識不足も甚だしい

2012年9月6日 09時20分

 米国務省の現地責任者が「特に危険とは認識していない」などと、ぬけぬけと発言する神経はどこからくるのか。

 アルフレッド・マグルビー在沖米総領事の就任会見である。米軍普天間飛行場の返還は危険性除去が目的であり、返還合意した日米両政府の共通認識ではなかったのか。

 2004年8月13日には、普天間所属のCH53大型輸送ヘリが沖縄国際大学に墜落、炎上した事故を起こしている。よもや、忘れてはいまい。

 普天間所属の航空機事故は宜野湾市の調べでは、復帰後の1972年から計87件も発生している。年間平均にすると、約2・2件に上る。

 普天間は米本国の国内法の基準を満たしていない。滑走路両端の延長区域には離着陸の際の安全確保のため、クリアゾーンと呼ばれる土地利用禁止区域が設定されているが、普天間ではクリアゾーン内に普天間第二小学校、児童センター、保育所、病院などが計18カ所もある。住宅も約800戸、3600人余りの住民が生活している。

 この現状を「特に危険ではない」というのは認識不足も甚だしい。

 マグルビー氏は普天間が「世界一危険な飛行場」と称されるのが不満のようだが、危険性の本質をはぐらかそうとするものだ。逆にそうでないことを証明してもらいたい。

 2003年11月に上空から普天間を視察したラムズフェルド国防長官が「事故が起きないのが不思議だ」とマグルビー氏と真逆の見解を漏らしたのがまっとうに見える。

 マグルビー氏は普天間飛行場の周りに「どうして住宅が密集したか不思議だ」とも言っている。不思議でも何でもない。同飛行場は市のど真ん中にある。米軍は占領と同時に民間地を強制接収し、本土決戦に備えて滑走路を建設した。市の総面積の4分の1を占める。土地は限られており、周辺に住まざるを得ないのは当然ではないか。

 マグルビー氏は住民自ら「危険への接近」をした、と言いたいのだろう。日本政府も普天間、嘉手納の両爆音訴訟で同じ理論を展開したが、判決はいずれも退けており、破綻しているのである。

 米軍基地は今も沖縄本島の約2割を占める。県民の人権を脅かし、都市形成を阻害している最大要因だ。

 復帰後、人口増と市街地化が進むが、マグルビー氏は県民の方が基地から離れるべきだ、とでも言いたいのだろうか。本末転倒である。

 マグルビー氏の発言は矛盾に満ちている。

 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイは「安全」と言いながら、「人口密集地の上を飛ぶのが一番の問題だ」と発言する。「辺野古に代替施設があれば異論はない」ともいう。何が言いたいのか。

 普天間からオスプレイを飛ばすのを避けたいのならば辺野古移設を受け入れよ、と言っているのに等しい。

 9日の県民大会を前に、県民感情を逆なでするようなマグルビー氏の暴言。県民の生命と財産を人質にして辺野古移設を推し進めることがあってはならない。

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