【シャーロット(米ノースカロライナ州)=吉野直也】米民主党が5日、政策綱領の一部を修正したのは、米国政治に強い影響力を持つユダヤ系有権者への浸透を狙ったものだ。米メディアでオバマ大統領と共和党大統領候補のロムニー前マサチューセッツ州知事の支持率はともに40%台で拮抗。オバマ氏はエルサレムの帰属問題に踏み込まなければ、選挙戦で不利になりかねないと判断した。
ロムニー氏は7月下旬にイスラエルを訪問した際「エルサレムはイスラエルの首都」と明言。いち早くユダヤ系有権者に自身をアピールした。共和党が8月下旬に採択した政策綱領にも同趣旨の項目を盛り込んだ。
ユダヤ系米国人は約660万人で、米人口の2%程度とされる。一方でユダヤ系ロビー団体の米イスラエル公共政策委員会(AIPAC)が巨額の政治資金を有し、発言力は大きい。
中東のユダヤ人国家イスラエルは最近、イラン核問題やシリア内戦が続き危機感を強めている。米共和党はこのタイミングでイスラエル寄りの姿勢を強調。ユダヤ系市民の支持獲得に動いた。
一方、民主党は2008年の政策綱領では「エルサレムはイスラエルの首都」と明記していたが、4日採択の新政策綱領ではその点への記述はなかった。オバマ氏は大統領に就任後、エルサレムの帰属に関してはイスラエルとパレスチナ双方による解決を求めていた。当初の綱領はこれを反映したものとみられる。
オバマ氏が今後もイスラエル・パレスチナ間で中立的な立場を維持すれば、ユダヤ系有権者の離反を招く可能性もある。大統領選で大きな失点となりかねない状況となり、民主党は異例の綱領修正に至った。
5日の民主党大会で、政策綱領の一部修正を採択する際、会場からは異論が上がった。発声による意思表示だったため、賛否の正確な数は分かりにくいまま、党大会の実行委員長が「賛成多数」で押し切った。
共和党の攻勢を意識したともいえる今回の異例の綱領修正が、実際にオバマ氏再選に有利に働くか否かは現時点では損得勘定が難しい。従来の枠にとらわれないオバマ氏の政治姿勢が同氏への評価につながっていた面があるためだ。
オバマ、ロムニー、AIPAC
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