京都・山科本願寺跡:蓮如、長寿のサウナ風呂? 遺構発見
毎日新聞 2012年09月07日 東京朝刊
浄土真宗中興の祖・蓮如(1415〜99)が築いた京都市山科区の山科本願寺跡で、蒸気で体を温める「サウナ風呂」の跡が見つかったと市埋蔵文化財研究所が6日、発表した。本堂に近い場所に位置しており、蓮如が使っていた可能性が高いという。
山科本願寺は1478年、蓮如が布教拠点として造営を始めた。堀や土塁を巡らせて壮大な規模を誇ったが、1532年、法華宗徒らに攻められ、焼失した。
風呂の遺構が見つかったのは、寺の跡地の西端の一角。石風呂、かまど、たたき、井戸などの跡と見られる。石風呂は南北約6メートル、東西約3メートルで、地面から約1メートル掘り下げた構造だった。粘土や石で固めたドーム状の天井があったと見られる浴室と準備作業のための前室に分かれていた。
まきを燃やして熱した地面に塩水をまき、蒸気を発生させるサウナ形式で、こうした石風呂は当時、西日本に広く分布していた。
柏田有香・同研究所調査研究技師は「風呂は宗主一族や高位の僧が使ったと思われる。当時、塩水の蒸気を浴びるのは健康によいと考えられていた。蓮如は85歳まで生きて長寿だったが、健康にはかなり留意していたのでは」と話している。【榊原雅晴】