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市販車ベースのレースと言えば全日本やワールドスーパーバイク等(クラスによる)がある。
レギュレーションではエンジンの改造はNG、ホイールはSTDのみ。
基本,カーボンパーツやフレームの改良は禁止。
タイヤは本番の1レースでは3本までの使用制限。
なぜ、こんなにレギュレーションが厳しいのか?
それは、有名チームだとスポンサーも多いので、金銭面じゃプライベーターはファクトリーやサテライトチームにはかなわない。
その差をなくすためにタイヤの本数制限やマシンの改造範囲が決まっている。
さて、市販車ベースのレーシングマシンと元の市販車の違いは何か? そこに触れてみよう。
まずは、作業をよりスムーズにする特製のツールを紹介。
スイングアームのアクスル部に使用するワンオフのこのアルミ製の筒。
これはRタイヤ交換時の武器になる。
通常ならスタンドをかけ、クランクハンドルでアクスルを緩め、ナット側のシャフトを手で叩き抜き取り、外したチェーンをスイングアームにかけ、終了だが、この筒を使うと、ナットを外した段階で筒をアクスルに差し込み、手の平で叩き筒を奥まで挿入する。
するとアクスルはあっさり抜ける。
しかしこれだけではなく、この筒の最大のポイントは、筒を挿入し、アクスルを押し出してタイヤを外してから取り付けるまでの間、筒の出っ張りにより常にキャリパーを固定できるので、作業がスムーズになり時間短縮になる。
スタンドも前後とも当然 J・TRIP製。
スイングアームにはアグラスのステーをつけ、1人でも安全かつ素早くリヤを浮かせられる。
さて、肝心なマシンの話。
ハンドル周りの画像がないのが残念だが、レーシングマシンは走行中にクラッチの遊びが変化するので、ライダーが簡単に遊びを変えられるような造りなっている。
またレバーはスポンサーであるANT LIONを使用し、あとは2Dと呼ばれる高価な計測器が付いており、走行中のラップ数はわかるようになっている。
2Dには前後のサスのストロークセンサーによるサスの沈み具合、Gセンサー、ブレーキの制動力や初期制動からの握り具合、最大出力やトップスピードなど色んな情報をPCで吸い出せる。
そのデータを主にメカニックがライダーの意見を聞きながらサスの調整をする。
で、マシンの仕様に戻るが、カウルはもちろんFRPのカウル。
アンダーカウルはクイックファスナーを使用しているので、工具を使わず、更に30秒もかからずに脱着できる。
カウル自体もアンダーを外してから、Tレン等で4本のボルトを外すだけで、前からごっそりカウル一式が取れるようになっている。
テールカウル等のボルトもTレンを使えばすぐ外せる。
あとはバックステップだったり、スライダー、ビッグラジエーターだったりアクラのサイレンサー等色々変更されている。
ハーネスやkitパーツはYAMAHAから支給される。
ちなみに、ピットイン時に私が行ったF・ R 前後のホイール交換の最短記録は1分30秒。
もちろんFキャリパーやアクスルシャフトはきちんとトルクレンチでトルク締めをしてそのタイム。
それが当たり前の世界なのがレースの世界。
日頃からメンテナンスをしているだけあって、前後ともアクスルシャフトなんかはスコンッとスムーズに入る。
エンジン内部に関しては極力精度をよくして組む、再使用品は灯油できれいに洗い、予備エンジンも複数作る。
また、スプロケや、ダンパーもかなりの数が必要。
ライダーのコメントやメカニックの判断次第で2次レシオ(スプロケ交換)をするからだ。
走りに関しては水温はアイドリングで90度付近まで暖気してからサーキットに送り出す。
暖気は、2500rpmから5000辺りまでレーシングをして暖気する。
ある程度暖まったら6000rpmから8000rpmまで暖気する。
親指と人差し指でつまんで、弾くようにレーシングするのがサーキット流。
左手でシリンダーヘッドを触り、温度を確かめながら左足でRブレーキを踏みつつも、右手でレーシングする。
サーキット走行前にはカウルを外し、各部の確認をし、カウルはレース開始15分前までは付けない。
またタイヤもレース10分前まで前後とも外しておく。
なるべくギリギリに装着するのが理想。
それは、路面温度により、タイヤのコンパウンドを変える必要があるために、ギリギリまで様子を見るためである。
なのでタイヤウォーマーはレインタイヤの他にR2,R3Nとコンパウンドの違うタイヤも含め、色んな場合に備えてタイヤラックにセットする。
ちなみに、タイヤウォーマーの電源を入れ忘れたり、短時間しかかけてなかった場合は、レースには出させない。
うちのチームはそうだった。
タイヤや水温の冷寒時による全開走行はサーキットにおいてはかなり危険。
水温の調整も、ラジエーターにテープを貼り、気温にあわせて変更する。
ちなみにガムテープは一枚で5℃は水温が変わる。
ちなみに市販車でいう冷却水とは違い、レーサーでは水を使う。
そのぐらい車両管理にはシビアであり、勝つためには必要なことなのである。
その他にレギュレーションギリギリのクランクシャフトのチューンもあるが、ここでは伏せておこう。
エンジンは遠征となるとチーフレベルで予備エンジンは1日に1台ペースで作る。
あと、書き忘れたが、うちのチームでの使用オイルはエルフの3818という銘柄。
1L 6000円超のレーシングオイルである。
精度を極力よくし、いいケミカルを使い、感度がよく、成長できるいいライダーを使い、信頼できるメカニックやスポンサーがいる
からレースは成り立つ。
それには色んな工夫や改造、技術が知識が必要で、一般整備士とはまた違う。
ライダーもその辺の走り屋の何十倍、何百倍もすごいやつらばかり。
4才からバイクに乗り、14才で全日本、18~20才でmoto1、motoGP等に出る。
マシンに対する感度どころかセンス、考え方が桁外れだ。
地方戦のレースではわからない、全以上のクラスになるとそんな世界だ。
あと、タイヤはコンパウンドが変わればライダーの乗り方、ライディングスタイルも替わる。
タイヤのスポンサーが変われば全く別の走り方をしなければならない。
また、内圧(空気圧)の変更でもフィーリングが変わる。
例えば内圧をFが170.Rが150としよう。
市販なら"あれっ、低くない?"
と思うレベルだが、タイヤウォーマーで100℃近くまで暖められたタイヤはタイヤウォーマーや走行熱により空気は膨張し、内圧が変化するため、ライダーのコメントによっては接地感やグリップ力、1次,2次旋回性を高めるために内圧のセッティングも必要。
タイヤについては、基本的にサーキット内にあるタイヤメーカー(本社からの遠征)に依頼し、サーキット内でのみの組み換えになる。
実力のあり、スポンサーがついているライダーは成績に応じて年間に支給される本数が変わる。
本番のレースでは、セッション中のタイヤは3本制限だが、テスト走行やフリー走行、予選を含めると実際にはタイヤはかなりの本数を使う。
サーキット走行のタイヤの磨耗速度は凄まじい。
ガソリンについては全日本クラスは、サーキット内で購入したガソリンしか使用できないことになっている。
また、ガソリンはR6なら大体17~18L入り、筑波を走るとすればサーキットの全長、ラップ数を計算し、燃費を測る。
必要のないガソリンはないほうがいいからだ。
あとはマップ(燃調)のセッティングやハンドルの切れ角のセッティングなど。
ハンドルの切れ角は広いほうが切れるのは当然だが、切れすぎるのは危険である。
サスセッティングについては伏せておこう。
市販車とレーサーは構造こそはほぼ同じだが、以外と細かい面が違う。
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