■韓国と先進国の児童ポルノ処罰の実態
先進国では児童ポルノについて、韓国とは異なり、徹底的な処罰を行っている。昨年11月、米国フロリダ州の裁判所は、インターネットで児童ポルノ写真や動画をダウンロードしてパソコンに保存したとして起訴されたダニエル・ビルカー被告(27)に無期懲役を言い渡した。裁判所は、ビルカー被告が所持していた児童ポルノ454点について、1点当たり懲役5年を適用し、量刑を決めた。
2004年9月、児童ポルノをめぐり大々的な掃討作戦を繰り広げたオーストラリアの警察は、約180人を摘発し、このうち50人が裁判所で実刑判決を受けた。また6人は自ら命を絶った。フランスは10年4月、軍の五つ星将軍だったレイモンド・ゲルマノス元帥(71)に対し、児童ポルノ所持罪で執行猶予(10月)付きの判決を言い渡し「レジオンドヌール」や「オーダー・オブ・メリット」などの勲章もはく奪した。
一方、韓国では「児童・青少年の性の保護に関する法律」に「児童ポルノの所持者は2000万ウォン(約140万円)以下の罰金に処す」という規定があるだけだ。この規定は2008年に設けられたが、水原地検が今月3日、児童ポルノを流通させた3人を初めて逮捕・起訴し、57人を在宅起訴するまで、4年にわたり死文化していた。コ・ジョンソク容疑者の事件が起こったのを受け、初めて法律を適用したのだ。
■有名無実化した法律をあざ笑う性犯罪者
2006年、韓国で流通する児童ポルノの70%以上を一人で流通させていたことが分かったキム・ポンジャ(通称)は、07年7月に懲役10月、執行猶予2年の判決を言い渡された。キム・ポンジャのように、大量の児童ポルノをインターネット上にアップし金を稼ぐ、いわゆる「ヘビーアップローダー」の処罰の根拠となっている「情報通信網の利用促進および情報保護などに関する法律」には、わいせつ物の流通について「1年以下の懲役または1000万ウォン(約70万円)以下の罰金」という規定があるだけだ。ファイル共有サイトなどで大量のポルノ画像をアップし、数百万ウォン(100万ウォン=約7万円)から数千万ウォンを稼いでいるヘビーアップローダーが、現行法を意に介さないのはこのためだ。
また、サーバーを海外に置いて活動するヘビーアップローダーに対し、捜査機関は「追跡が難しい」との理由で、何もできないでいる。最近、ポルノ画像に触発された凶悪犯罪が相次いでいることを受け、法務部は今年12月5日に発足する予定の「インターネット上の児童性犯罪解決に向けた国際連帯」に加入する方針を、今月3日に決定した。