後半、ヘディングで先制ゴールを決めるハーフナー(手前)=東北電力ビッグスワンスタジアムで(沢田将人撮影)
|
 |
◇キリンチャレンジカップ 日本 1−0 UAE
その瞬間、194センチの巨体が軽やかに宙を舞った。攻め続けながらもゴールが遠く、スコアレスドローの気配が漂い始めた後半24分だ。左サイドから駒野が絶妙な左足クロスを送ると、GKを越えたところでハーフナーが頭で突き刺した。香川、本田の両エースが結果を残せずピッチを去った5分後、イラク戦へとつなげる虎の子の1点をたたき出した。
降り注ぐ“マイク”コールを浴びながら込み上げた感情は、何よりも安堵(あんど)感だった。「ホッとしました。今日は自信を取り戻すことが大事だった。久々に点を取れたし、結構回復しました」。6試合ぶりの先発、約11カ月ぶりの代表での3ゴール目。ただそれ以上に、自分の役割と存在意義を再確認できたことが大きかった。
所属のフィテッセでは今季公式戦6試合連続途中出場、しかも左サイドMFとして起用されている。今季から指揮を執るルッテン新監督からは「おまえはどこでもできる」と言われ、ボランチまで試された。「僕は器用な選手じゃない」。直接そう伝えてはいるが、ストライカーとして自信喪失に陥っていた。
「やっぱりゴール前での役割はわかっている。エリアの中でボールが来たら、決めれる自信はある」。1トップには最終予選3試合フル出場中の前田が君臨する。それでもザックジャパンが誇る金髪のジョーカーは、決して脇役に甘んじてはいない。 (宮崎厚志)
この記事を印刷する