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【社会】

業者依頼 収容犬でサプリ実験 横浜動物愛護センター 

2012年9月7日 10時03分

横浜市動物愛護センターの収容犬を使った実験データ

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 捨てられたイヌやネコなどを保護する横浜市動物愛護センター(神奈川区)が、動物用サプリメントの商品化を目指す業者の依頼で、収容中のイヌを使って実験をしていたことが分かった。業者は愛護センターの実験データを省いた上で、十月にも商品化する予定。市は「営利目的の調査を受け入れたのは不適切だった」としている。(中沢誠)

 実験は、イボや皮膚病のあるイヌやネコに、ハトムギの種子のエキスを投与して効果をみた。東京都目黒区のペット関連会社の代表者が、人の美容向けの健康食品を、皮膚病の動物の栄養補強に活用しようと考え、動物病院などに実験を依頼していた。

 会社の代表者は昨年十一月、大学の同窓だった愛護センターの五十代の獣医師にも依頼。獣医師は上司の担当係長の了解を得ただけで、公益性や安全性などの検討をせず、市の決裁も受けていなかった。

 実験のイヌは、愛護センターで収容している動物から脱毛やイボのある三匹を選んだ。獣医師と同僚の職員三人が今年二〜四月、日常業務の合間に毎日一回、エキスを投与するとともに、患部の観察や血液検査を行った。七月にカルテや患部の写真、検査結果をメールで代表者に送った。

 問題発覚後、代表者は市の要請で、送られてきたデータを削除。代表者は本紙の取材に「既に人が使っている商品で安全性は確か。調査内容をオープンにした上で打診しており問題はない」と説明した。集まった約七十症例には副作用もなく、一定の効果があったとして、十月にも一日二百円程度の価格で販売する予定。

 実験は無償協力が前提で、代表者は取材に「愛護センターにも実験の経費や謝礼を払っていない」と答えた。

 愛護センターによると、市の条例で人畜共通の感染症などの調査研究は認められているが、本来は公的機関からの依頼に限られる。今回の実験は薬事法に当たらない健康食品なので、国の許可は不要だという。

 泉俊明センター長は「収容動物を扱う公的機関で、営利目的の一民間からの調査を受け入れたのは不適切だった」としている。

(東京新聞)

 

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