南太平洋のチャイナタウン襲撃
中国の南太平洋進出に関する英文資料を読んでいたら、興味深い事実を見つけた。
2006年4月、ソロモン諸島の首都ホニアラで反政府運動が勃発、市内のチャイナタウンが集中的に襲撃されたという。東南アジアではよく聞く話だが、ソロモン諸島にもあったとは驚いた。
同資料によれば、当時のリニ新首相が、中国人ビジネスマンから得た賄賂を使い選挙の買収工作を行ったという噂が流れ、これに怒った民衆が暴徒化して中華街を襲撃しのだという。やはり中国人はどこにいても、中国式の行動パターンを変えようとしないのか。
実際、ホニアラの現地社会は華僑が多額の現金をソロモンから中国に送金していると信じていたらしい。同年11月には同様の中華街襲撃事件がトンガでも発生したという。いずれも、当時既に中国が南太平洋島嶼国社会にかなり食い込んでいたことを示す逸話だろう。
ソロモン諸島のケネディ島〔AFPBB News〕
以上は氷山の一角に過ぎない。2006年と言えば、米国がイラクとアフガニスタンで戦争していた時期。
同年5月にはフィジーでクーデター事件が発生、豪・NZなどが援助停止などの圧力を加える中、中国がまんまと対フィジー援助を急増させ、影響力を拡大している。
そもそも、中国の南太平洋進出は長く、過去40年間、中国は南太平洋島嶼国との国交を巡って台湾との外交ゲームを戦ってきた。冒頭ご紹介したPIFメンバーの中でも、現在8カ国は中国寄りであり、台湾と国交を維持しているメンバーは6カ国だと言われる。
このように中国の南太平洋進出は極めて長期的、戦略的、計画的だ。特に、貧しい太平洋島嶼国に対する中国の経済援助は実に効果的である。恐らく、アフリカにおけるのと同様、国家首脳レベルへの「実弾攻撃」を含め、ありとあらゆる手段を駆使しているに違いない。
報道によれば、中国の南太平洋島嶼国への融資は、2005年から5年間で2320万ドルから、1億8300万ドルに拡大したという。また、この間、中国からの融資総額は6億3700万ドルに上るらしい。昔ならともかく、今の日本のODAが逆立ちしても出せる額ではない。
-
中国の若者には「お祭り」が必要だ (2012.09.04)
-
「日章旗」強奪事件が「極めて遺憾」な理由 (2012.08.31)
-
中国のネチズンが向ける矛先は政府より元国営企業 (2012.08.29)
-
尖閣諸島の領有権問題を国際司法裁判所に提訴せよ (2012.08.28)
-
中国で離婚率が急上昇、経済発展の代償は家庭崩壊 (2012.08.27)
-
尖閣は中国のもの、蒼井そらは世界のもの (2012.08.24)
-
経営難、権利に目覚めた労働者・・・、中国工場での生産はもう限界? (2012.08.20)
-
香港活動家の尖閣上陸 (2012.08.17)
-
中国の地方都市に広がる「軍事化」の波 (2012.08.10)