警戒を強める豪州・NZ
こうした中国の動きを同地域で最も懸念しているのが豪州とNZだ。両国にとって、中国の南太平洋進出は、日本軍が進出してきた1940年代以来、何と70年ぶりの重大な脅威、というのが両国の安全保障専門家の認識のようである。
豪州のサイトを見ていたら面白い論文を見つけた。
「裏庭に龍がいる:南太平洋における中国のプレゼンス増大の戦略的帰結(The dragon in our backyard: the strategic consequences of China’s increased presence in the South Pacific)と題するこの小論は、過去70年間で初めて敵対的勢力が豪州の裏庭に到達しつつあることに懸念を表明しつつ、南シナ海における中国のプレゼンス増大に警鐘を鳴らしている。
特に、豪州が懸念するのは、中国と南太平洋島嶼国との軍事協力・交流の拡大だ。中国は自国の海軍艦船の補給基地や情報通信施設の確保を狙っている。当然、その目的は南太平洋における米軍と豪州軍、特に海兵隊部隊、潜水艦などの動きを監視するためだろう。
世界の海は繋がっている。これまで日本は尖閣列島の領有権にばかり関心を払ってきたが、尖閣のある東シナ海は南シナ海に通じ、南シナ海はそのまま南太平洋へと繋がっている。米国の対中戦略は南太平洋から黄海まで途切れなく続いているのだ。
中国の台頭は今や西太平洋だけでなく、南太平洋を含む、太平洋全域に及びつつある。この当たり前だが、日本人として素直には受け入れたくない不都合な現実を前に、我々は一体何をすべきなのか。
少なくとも、これまで日本が南太平洋の島嶼国に対してやってきたことは間違っていないだろうが、決してこれらが十分でないことも確かだ。やはり中国の台頭はグローバルに捉える必要がありそうである。
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