児童ポルノ事件 摘発過去最多に9月7日 7時41分
ことしの上半期に警察が摘発した、子どものわいせつな写真や映像などの児童ポルノに関する事件はおよそ760件とこれまでで最も多くなり、被害にあった子どもの半数余りが小学生以下だったことが分かりました。
警察庁によりますと、ことし6月までの半年間に全国の警察が摘発した児童ポルノに関する事件は764件と、去年より20%増え、統計を取り始めた平成12年以降、最も多くなりました。
被害にあった子どもの数は、画像などを鑑定して年齢を推定したケースを含め、596人に上り、このうち54%が小学生以下だったということです。
特にインターネットで違法な画像をやり取りするケースが多く、国内の接続業者は、児童ポルノのサイトに強制的にアクセスできないようにする「ブロッキング」と呼ばれる対策を去年から導入しました。
しかし、ブロッキングが効かないファイル共有ソフトを使うケースが増えていて、検挙件数は252件と、過去最多だった去年を上回り、使われたソフトも11種類に上っているということです。
また、サイトにアクセスする際にいわゆる「IPアドレス」を直接入力してブロッキングをすり抜ける手口も横行しているということで、警察庁はこうした手口の実態把握を進め、取締りを強化することにしています。
規制されない過激DVD法整備課題に
過去最多となった児童ポルノの摘発件数。
一方で、法律の網にかからない水着を着た子どもたちの過激なDVDが、最近大量に販売されるようになり、自治体や人権団体が問題視しています。
販売店や制作会社の関係者などによりますと、18歳未満の少女が出演する水着DVDの制作会社は少なくとも20社。
毎月およそ50本の新作が発売され、市場規模は年間数十億円に上るとみられます。
この中に問題視されている小中学生の過激なDVDがあり、9歳や10歳の少女が小さな水着を着て性的なポーズをとるものもあります。
法律は、「子どもたちが衣服の全部または一部を着けない姿で性欲を興奮させるもの」を児童ポルノの定義の1つとしています。
しかし、水着は人前でも着る衣服であるため、水着を着てさえいれば性的な行為を想像させても明確な規制の対象とはなっていません。
これまでに警察が摘発したのは、水着とは見なせないほど小さなものしか身に着けていなかったケースなど、合わせて3件だけです。
児童ポルノの摘発が強化されるなかで、この点に目をつけた制作会社が、こうしたDVDを数年前から大量に販売するようになり、自治体や人権団体が問題視しているのです。
DVDに出演した小中学生の中には、意味が分からないまま性的なポーズを撮影されたり強要されたりして、精神的に深く傷ついた子どももいます。
最近、DVDに出演した中学生の少女は、NHKの取材に対し、「泣きながら撮影を続けていました。撮影した映像はインターネットでも出回っていて、一生消えないと思うと怖くてしかたがないです。精神的に追い込まれてしまい、誰にも相談できませんでした」と話していました。
子どもがDVDに出演する際には、必ず保護者の同意が必要です。
このため、専門家は、制作会社だけでなく子どもを保護する親の責任も指摘しています。
甲南大学法科大学院の園田寿教授は、「判断が未熟な子どもに性的なことをさせるというのは本当に悪質な行為だ。親がしっかり判断し、自分の子どもをしっかり監視して守ってあげることが必要だと思う」と話しています。
そのうえで、現在の児童ポルノ禁止法について、「法律の想定している児童ポルノと、実態として社会で問題になっているものとの間にずれが生じている。今の時代に合うように法律をもう一度、整理することが必要だ」と指摘しています。
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