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スーパー千冬タイム!

2011/2/21 00:00でアンケートは締め切ります。
sec.15/ちーちゃんご乱心

「何だこれは……」

 生徒会室のスライドドアが圧縮空気の音と共に開いた先には、カオスが待ち受けていた。

「ちーちゃん! どうかな、これ。似合ってる?」

 親友がティーセットを両手に話し掛けてくる。それはいい。

「あ、千冬先輩。お、お帰りなさいませ……」

 後輩が椅子に座る生徒会長の赤髪を三つ編みに結っている。それも、思うところがない訳ではないがまあいい。
 だが――

「お前たち、何て格好をしてるんだ!?」

「何って、見ての通りメイドだよ」

 そこにはねっとりとしたにやけ顔を張り付け紅茶をすする生徒会長と、二人の献身的なメイドがいた。
 何を言っているんだとばかりに返す束に詰め寄り、私は言う。

「な、何でお前がメイド服など……」

「れっくんが可愛いって言うからさぁ、ね?」

 『ね?』じゃない。山田君ならまだ分かる。彼女がレヴァンに憧れだか好意だかを抱いているのは知っている。
 だがお前は何だ? 束の変わりようは私が一番実感できる。夏期休暇に何かがあったのは間違いないが、こいつは答えようとしない。

「二人ともすごく似合ってるだろ?」

「何のつもりだレヴァン」

 目線だけ向けてくる諸悪の根源らしき男に睨み付ける。しかしまるで動じた風もなく、レヴァンは言う。

「もうすぐ学園祭だろう? だから二人にはリハーサルとして着てもらったんだよ。着方を知ってる人がいた方が当日困らないしな」

「なっ……」

 そうだ、こいつはキャノンボール・ファストでの賭けで勝ち取った命令権で、私にメイド服を着せる心算なのだ。
 確かにここのところ特訓に来なかった。“あんなこと”をされた手前私から誘うのははばかられたため放っていたが、計画は着々と進んでいたらしい。
 ふと唇に手を当ててあのときのキスを思い出す。とたんに顔が熱くなってくるのを感じ手を離すが、レヴァンがニヤニヤしているのに気付いて私は怒鳴った。

「何がおかしい!」

「いんやぁ、今日はやけに可愛いと思ってなぁ。それにしても千冬が百面相するなんて、何かあったのか?」

 こいつ、全部分かったうえで言っているな、小癪な奴め……!
 私はそっぽを向いて何でもお見通しだと言わんばかりのレヴァンを視界から追い出すと、頭を冷やすために束から紅茶を引ったくった。
 マナーなどかなぐり捨てて一気に飲み干す。細かいことは分からないが旨いのは確かだった。

「束には接客じゃなくて、後方で俺と料理とかを担当してもらうから紅茶の容れ方を教えてみたんだが、なかなかイケるだろ?」

「篠ノ乃家の女は料理上手なんだよ」

「私は何もしないからな!」

 釘を刺すつもりで言ったがレヴァンはまるで聞き入れない。

「生徒会会長として不参加は認められないな。第一、今回の主役は千冬、お前なんだから」

「……ど、どういう意味だ」

 真耶が『終わりましたよ』と三つ編みの完成を告げると、レヴァンは礼を言って立ち上がる。真耶の頭を何回か撫でると、自分もと近付いてきた束を撫でる。
 たっぷり焦らされた私は目付きを鋭くして再度レヴァンを睨み付ける。するとようやく口を開いた。

「千冬は今回のメイド喫茶の花形だ。特別な衣装を用意している」

「ISスーツからサイズを逆算したからぴったりのはずだよ」

「私が着たかったんですけど……」

 特別? つまりこの赤髪は私に二人よりも“すごい”衣装を着せようと言うのか?
 こいつの性格からして“すごい”が“過激”に翻訳されることは必至だ。つまりはだ、ただでさえフリフリやら何やらで派手な衣装がさらに派手になるということ……。
 無理だ。そんなもの着せられたら織斑千冬は織斑千冬ではいられなくなる。恥ずかしすぎて死ねる。
 そう思案しているうちに、レヴァンはどこからともなく『特別な衣装』らしきものを取り出す。

「絶対領域と胸元、二の腕を意識した職人至高の逸品だ。一着三○万、千冬のためだけに用意したんだぞ」
「ちょっと着てみてよちーちゃん。絶対似合うから!」

「可愛い千冬先輩も、見てみたいです……」

 三人が近付いてくる。衣装は、可愛い。可愛すぎて死ぬ。
 迫られるごとに私は後ずさる。戦士としての誇りと乙女としての誇りを天秤にかける。

「さあ、いざ!」

「……う、うわぁぁぁあ!」

 私は乙女の誇りを取り、脱兎のごとく逃げ出した。


◇◇◇


ひたひた……

ひたひた……

 絶望がにじり寄る。織斑千冬の尊厳を根こそぎ奪い去ろうと魔の手が迫る。

「や、やめろっ……来るな!」

 一歩また一歩とその手に『羽衣』を持って、近付いてきた。右足が手錠のようなもので繋がれていて逃げることもできない。ISもなぜかうんともすんとも言わなかった。
 朝起きたらすでに生徒会室(ここ)にいて、傍には朝食と紅茶が用意してあった。しばらくすると見慣れた三人が見たことのない表情で部屋に入ってきて、喋る間もなくこの状況である。

「今さら抵抗しても無駄だからねん、ちーちゃん」

 親友が見たこともないほど口端を上げる。手にはかの『羽衣』が揺れている。自身も羽衣を纏っているが、『羽衣』とは及びもつかないマシなものだ。

「千冬先輩……レヴァン会長のお達しですから、その……諦めてくだいね」

 上司の命令を免罪符に手を伸ばしてくる後輩から奥にいる諸悪の根源に目を移せば、待ってましたと言わんばかりに嗜虐的な笑みと共に言ってきた。

「千冬……お前、今最高に可愛いぞククッ」

 殺意。それと羞恥。
 この変態がそっち方面の才能も有していることを認識して吐き気がする。こんな変態にほんの僅かでも好意を向けていた自分が疎ましい。
 何より許せないのは、この状況が自分の敗北によるものだということ。神聖な勝負を賭けによって落としめたこいつにも腹が立つが、だとすればそれを安請け合いしあまつさえ負けた自分はどうなのかと。
 考えてみればこの変態が期待しているのは私が羞恥に悶えることではないか、しかしだからといって素直に従うことを織斑千冬のプライドが許すのか。
 まとまらない考えを巡らせる間も魔の手は確実に迫っている。

「もう、どうにでもしろっ!」

「元よりそのつもりだ。着替えが終わるまで俺は出ているぞ。期待してるよ、千冬」

「フンッ……惚れるなよ」

「威勢がいいな。だがそれはお前次第だ」

 私の精一杯の強がりも見透かされ、レヴァンは部屋を出ていった。
 束と山田が私の服に手をかけるのに、私は言い放った。

「どこからでもかかって来い。私は逃げも隠れもしないっ……」

 織斑千冬はまんまと乗せられてしまった。


◇◇◇


「まったく、期待以上だ……」

 普段はクールで制服をまるで軍服のように――事実ズボンだし――着こなす千冬だが、今は初めて見るスカート姿だ。
 ミニスカートとガーターベルトで支えられた絶対領域が眩しい。大きく開いた胸元はメイドの慎ましさなど微塵も残してはいなかった。
 胸に手を当てスカートの裾を引っ張り内股でもじもじする人類最強は、あまりにも愛らしすぎた。
 羞恥からだろう、俺が頬を撫でても赤面するだけで抵抗する余裕はないようだ。

「私にこんな格好をさせて楽しむか……変態が」

「でも可愛いぞ」

「ちーちゃん、大丈夫。どこも変なとこないから」

「そういう問題じゃ――」

「あのっ、時間も押してきてるので、早く写真撮っちゃいましょう!」

「なっ……!」

 真耶の言葉に赤面していた千冬の顔が一気に蒼白になる。
 真耶は三脚を素早く立てカメラを固定する。俺は千冬の腰に手を回して逃げられないようにした。

「は、放せレヴァン!」

「あー! ちーちゃんずるいっ私も!」

 束が右腕に絡み付いてくる。最近まるで警戒心がないから少し危うく感じるが、好意を向けてくれるのは素直に嬉しい。それに答えられない自分が不甲斐ないのだが。
 『その先は言わないで』なんて言われたら答えようがないだろ。俺としても今束のことが好きなのかどうか分からないし。
 カメラをセットし終えた真耶が今度は左腕に抱きついてくる。

「会長は今はまだ共有財産じゃないですかっ、抜け駆けはダメですよ、束先輩!」

「むーっ、眼鏡のくせにー!」

「め、眼鏡はチャームポイントなんですっ」

 真耶についても同様、保留状態だ。束には相変わらず眼鏡呼ばわりされているがかなり打ち解けてきた。いや、危険視されているだけかもしれないが。
 今だってこう、大分いいものが当たってるんだよ。ていうか自分でチャームポイントとか言うのか、似合ってるけどさ。

「肖像権の侵害だ!」

「そう堅いこと言うなよ。いい思い出になるぞ」

「こういうのは黒歴史と言うんだ!」

 肩に顎を乗せると観念したのか千冬はカメラの方を向く。俺は腰に回していた腕の力を少し抜いたところでカメラのシャッターが切られた。
 小気味いい音と共に思い出が刻まれた。

「私がコスプレだなんて……スースーするし」

「これからお仕事があるからねー」

 追い打ちをかける束にうなだれる千冬。何かもういろいろと諦めているようだ。


◇◇◇


「お、お帰りなさいませお嬢様っ」

 千冬は終始赤面しながら応対する。『千冬様ー!』なんて言って抱きつこうとする生徒は俺が制しながら席に通していた。
 千冬と俺のクラスである三年一組と二組に協力してもらって催しているメイド喫茶だったが、千冬人気のすさまじさに千冬本人が物理的に押し潰されそうだったので俺が出張ってきている。束は不満そうにしていたが、少し甘えさせて何とか抜け出してきたのだった。

「うう、やっぱり私には無理だ……」

「これくらいでへこたれるなんて、千冬らしくないぞ」

「私がどれだけの羞恥を我慢しているか分かって――」

「我慢することなんて何もないだろう? ありのままあればいい。俺がサポートしてんだから無理なことなんてない」

 千冬の言をさえぎって言う。内股を擦り合わせながら赤くなる千冬は本当に可愛い。普段見せない表情につい見惚れてしまう。

「何を偉そうに……お前が私にこんな辱めを強要しているのだから、サポートするのは当然だっ」

「辱めって……本当に可愛いんだぞ? 自信持てって」

「う、うるさいっ」

「うわっ!」

 千冬は俺を突き飛ばす。俺は体勢を整えようとするが足がもつれて上手くいかない。何とか腹から着地しようと身体を捻るが、後ろにはトレーにドリンクを乗せた真耶がいて――

「きゃあ!」

 どんがらがっしゃん。そんな類の音が聞こえたかと思うと、湿った布地とこの上ない柔らかさが俺を包んだ。

「やん……もう、レヴァン会長ったらこんな人前で……。こ、こういうプレイは二人きりのときにと……」

「ご、誤解だ! て、怪我ないか真耶っ」

 ものの見事に真耶の柔らかな双丘に飛び込んだ頭を上げ、グラスが割れていないことを確認して安堵する。

「うう、上も下もびしょびしょです……」

 どことなく卑猥な表現をする真耶は、それはもうすごかった。
 濡れた生地が張り付き胸の凹凸を正確に伝え、スカートがめくれて下着が見えそうになっている。俺は沸き起こってくる情念を理性で押さえつけて平常心を保つ。
 このままにはしておけないので俺は真耶を横抱きにして立ち上がる。

「えっあの、私ってばお仕置きされちゃうんですか!?」

「違うっての! 生徒会室に予備があるから、着替えてもらう。一人で行かせる訳にもいかないだろ」

「生着替えですか……? どうしてもと言うなら私も……キャッ」

 もう駄目だこの娘……。
 俺は無視して真耶を運んでいく。真耶はロリ巨乳でドジっ娘眼鏡と属性満載だからな、こんなこともあろうかと予備は二着ほど用意してある。

「誰かここ片付けておいてくれるか?」

 返事が聞こえると共に千冬が申し訳なさそうな顔をする。俺は少しでも安心させようと一言告げる。

「千冬、ここでのトラブルの責任は全部俺にある。だからそんな顔すんな、お客様に失礼ってなもんだろ?」

「済まない……」

「可愛いから許す」

 俺は満足して、生徒会室に向かった。


◇◇◇


 学園祭も終わりが近付き一部で片付けが始まる頃、俺と千冬は生徒会室にいた。

「お前が真耶と出ていってから大変な目にあったぞ。クラスメイトたちも調子に乗り出すから収拾が付かなくなるし……」

「それは悪かったよ。途中でいろいろあってな」

「まったく、私はあのまま脱がされるかと思ったんだぞ……」

 な、何があったんだ……? 俺は真耶を送ってから別の仕事が舞い込んできたから仕方なくそれに当たってたんだが、その間千冬には構えなかったからよく知らない。
 だが傷付けてしまったのは確かなようだった。

「ごめん、思えば俺も調子に乗ってた。悪ふざけがすぎたよ」

「……本当にな、馬鹿者が」

 千冬がしなだれかかってくるのを支えながら、俺は反省していた。今回ばかりはやりすぎた。
 いつもに比べて今日の千冬は随分と頼りなく見えた。疲れたんだろう、俺はそのまま千冬の肩を抱く。

「だが、可愛いと言ってくれたことは、別に嫌じゃなかったぞ」

「そう言われると、余計に罪悪感がつのるな。本当に可愛いんだからな……そういえば、着替えないのか?」

 何を思ってか、千冬はいまだにメイド服のままだった。初めて聞く甘ったるい声で千冬は答える。

「私が満足するまで可愛いと言い続けたら、脱ぐかもしれないな……」

 思わずドキッとする。頬を染め僅かに笑みを浮かべる千冬に、俺は吸い込まれそうな気分だった。

「可愛いよ、すごく可愛い……」

「続けろ」

「……本当に、クーデレ最高です」

「フフフ、元はお前が撒いた種だというのに、お前に慰められてこんな気持ちになっていては……私もとうとう焼きが回ったか」

 千冬が顔を近付けてくる。正確には唇を。こいつこんな顔できたのか……。
 俺はすっかりその気になってキスしようとするが『がっつくな』と押し留められる。

「目を瞑れ……いいぞ、来い」

 よしの合図がでたので唇を近付けていく。何だか調教されている気がしないでもないが、千冬ならいいかと従った。
 ゆっくりと縮まる距離が、短いのにとても長く感じられてもどかしい。その距離は一センチずつ、一ミリずつ詰まっていき、やがてゼロに――

ゴツン……

 何だ? やけに硬くてひんやりとした感触がある。キャノンボール・ファストのときはもっとずっと柔らかくて温かかったが……ん? この気配は、もしや……!
 俺はゆっくりと目を開ける。目に飛び込んでくる銀色の刀身に絶望を見た。

「私があんな辱めを受けて惚れるようなドM女に見えたか、ん?」

「ち、千冬……さん?」

 そこには『暮桜』を部分展開し雪片を俺の喉に当てている、とてもいい笑顔な織斑千冬がいた。メイド服によく似合っているが、できればその笑顔はメイド喫茶でしてほしかった。

「今すぐ第三アリーナに来い。来なければ後でどうなるか……分かるな?」

 そう言いながら柔らかい太ももで、俺のいつの間にか立派になっていたアレを押し潰す千冬さん。来なかったら斬り飛ばすんですね、分かります……。

「し、承知いたしました……!」

「うむ、それでいい。せいぜい可愛がってやる、お前が可愛いと言った回数だけな……」

 そして千冬さんは生徒会室を後にする。俺は今、ようやく後悔というものを知った。


◇◇◇


 絶対的な蹂躙があった。
 俺の奮闘も虚しく、『ラファール・カスタム』は雪片に切り刻まれた。かつての勝利などなかったかのように、本格的に人間を辞め始めた千冬の猛攻に手も足も出なかった。
 その様はまるで肉食獣に食い荒らされる草食獣の図だっただろう。『ラファール・カスタム』の損傷レベルはDに突入し、俺は意識を失ったのだった。

「起きたか、レヴァン」

「ヒッ……!」

 目覚めてみればそこには先ほど俺をボロ雑巾にした織斑千冬様。俺は反射的に跳び退こうとするが全身打撲で力が入らない。

「そう警戒するな。今回のことはこれで手打ちにしてやる。私も少し本気を出しすぎた」

「あ、ああ……」

 本気って、殺意的な意味でだろ。まあ、俺もそれくらいひどいことをした自覚はあるし、この状況は別に不本意じゃない。やられて当然だろう。
 そう返すと千冬は安心したのかため息を一つつき言った。

「そうか、ならこのころはこれで終わりにしよう。済まなかったな」

「俺も悪かったよ」

「うん。そ、それでな、私なりに考えてみたのだが……」

 突然顔を逸らして千冬は言う。何かあるのだろうか。
 しばらく待っても何も話さないので辺りを見回すと、時計はすでに七時を指していた。よく見てみれば外も暗い。こいつ俺が起きるまで待ってたりしたのか?

「レヴァン……」

「何だ?」

 千冬が話し始めたので視線を戻す。

「賭けをしたな、そして私が負けた」

「ああ、そうだが……それはもう終わっただろ」

「いや、ま、まだだ……」

 一体何を言いたいのだろうかよく分からないが、千冬の中ではまだ終わってないらしい。

「私は、メイド喫茶の腹いせにお前を叩きのめした」

「改まって言われると堪えるものがあるな……」

 俺の言葉には耳を貸さず千冬話しを続ける。暗くてよく見えないが、その顔は恥ずかしげだった。

「メイド喫茶は私に相談がなかったとはいえ生徒会の催しだ、叩きのめしたのはそれに文句を言う行為にすぎない……」

「結論から言うと?」

 千冬は一度深呼吸して伝える。

「か、賭けの命令権は清算されていない……」

「えっと……?」

「……メイド服で奉仕してやると言ってるんだ!」

 いちいち言わせるな馬鹿者、と続く千冬の言葉に俺の思考が一瞬停止する。
 それってつまりあれですかっ、メイドちーちゃんとにゃんにゃんできるんですか!?

「馬鹿者っ、誰がそんなこと言った!?」

「すみません……」

「と、とにかく、今から着替えるからあっち向いてろ……」

「そういうのは俺が寝てる間に――」

「黙れ、お前は音だけでもイケるくちだろう?」

「何だよ、人を変態みたいに」

 変態だろと返されてうっとうめく俺。男なんてみんな変態だよ。
 そうこうする間に布の擦れる音が聞こえてくる。ていうかお前枕元で着替えてるだろ、保健室なんだからレースとかあるだろっ。それ使えよ!

「終わったぞ……」

「ああ……」

 振り返って千冬を見る。うう、可愛い。月明かりに照らされた白磁の肌が、思わず触れたくなる絶妙な照り返しを発している。

「ふ、触れたいのですか、ご主人様……?」

「え!? あ……」

 主従モードに突入した千冬が俺の左手をそっと自身の大きく開いた胸元にあてがう。や、柔らかいです……。
 確かノーブラで下にコルセットだったか……胸が強調されすぎだろ……。

「綺麗だ……」

「ありがとうございます……」

 思わず口をついて出た言葉に自分でも赤面する。しばらく感触を楽しんでいたが唐突に戻される。

「こ、ここまでです……夕食の用意ができております」

「た、頼む……」

 千冬は置いておいたのだろう料理の乗ったトレーを持ってくると、ベッドに腰掛けてスープをスプーンですくう。

「あ、あーん……」

「あーん……うん、おいしいぞ」

「そう言っていただけて嬉しい、です……ご主人様」

 千冬が可愛すぎて生きるのが辛い……。メイド服で主従プレイ……けしからんな。
 俺たちは終わりのタイミングを掴めずに、結局消灯時間ぎりぎりまでプレイを続けていた。



.
ちーちゃん可愛すぐる……。


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