サッカーコラム日本代表戦の度に起こるメディアの過剰な「香川持ち上げ」と「トップ下信仰」にうんざりしてきた

2012年09月06日 09:46

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カテゴリ:サッカーコラム


代表戦が近付く度にうんざりするのが、メディアが煽る「香川トップ下」論である。

勿論これからの香川と本田の状態によって色々変わる事はあるのだろうけど、ザッケローニが就任してからもう2年経つか、その2年の間にザッケローニはトップ下は本田圭佑、と現状では決めているのだ。

解説者が「香川はトップ下の方が」メディアが「香川はトップ下の方が」と表現する度に悲しくなったが、最近はイラっとするようになってきた。

トップ下は脇役

以前、3-4-3に固執したザッケローニが、左に香川、右に本田を置いた事を皆さん覚えていらっしゃるだろうか。その結果日本の攻撃はどうなったか?活性化はせず、納め所を失い勢いを失ってしまった事がある。

では本田圭佑が離脱している間、中村憲剛や香川真司がトップ下に入った事があった。その時の攻撃はどうだっただろうか?大して良い攻撃は出来なかった。むしろ香川真司より、中村憲剛が入った時の方が攻撃は躍動感を見せてしまった。

勿論、香川真司の成長が今年の3月で止まっているとは言わない。今やればちょっとまた違うのかも知れない。だけど何度も言うが、ザッケローニは香川にゴールを求めている。

だから左サイドに置き、フィニッシャーとしての役割を求めている。右の岡崎慎司、左の香川真司は中央に入り込んでシュートを狙ってくる役割を求められており、元々サイドに開いてクロスを上げるのが主な仕事ではない。

それならばサイドアタッカーとしてもっと適任者が他にゴロゴロいる。あくまでこの左右のMFはほぼFWのような役割とゴールを求められているのがザックジャパンだ。

勿論本田もここでプレイ出来るが、ザッケローニは本田にはゴール第一ではなく、ゲームメイク第一を求めている。中央でパスを受けて左右に散らす、左右のMFにボールが入ればパスを受けに行ってパス&ゴーの助けをする。

要するに「脇役」である。岡崎と香川を活かす脇役をトップ下に求めているのだ。勿論前田遼一を活かすためにも存在する。

日本ではマスコミの下らん報道のせいで「トップ下=王様」と勝手にイメージがつけられているが、少なくとも現状のザックジャパンの動きでは、本田は王様ではなく、ただの脇役で縁の下の力持ち的な役割を担っている。

ただそれがあまりにも見事過ぎるから、本田が王様に見えてしまうだけだ。香川真司がトップ下に入っても、実力を出し切る事は難しい。それについて一応説明しよう。

アジアはフィジカル重視

案外勘違いされがちだが、アジアのサッカーは実は激しいのだ。欧州こそが激しいと思っている方も沢山いるだろうが、ACLやアジア予選を見ているとそうは思わない。

何故ならば、下手だからである。

極端な話、アジアの国にテクニックで日本に勝る国はほとんどいないのだ。トップ下の選手やFWの選手がポストプレイをした際、彼等はクリーンに止める術を持っていない。

アジア諸国が日本より勝っている点、それは何処か?ご存知の通り体格とフィジカルなのである。

技術で負けているチームに技術で勝負する馬鹿が何処にいるか、彼等は身体を引っ付け、身体の強さにものを言わせて守備をするのだ。そう、先日のサウザンプトンの選手が香川真司を押さえ込んだ時のように。

香川はそういう守備のされ方を最も苦手とする、身体を押し当てられたら吹っ飛ぶし、削りに来られたらすぐに体制を崩す、純粋な技術勝負をされれば香川は圧倒するだろうが、最初からファウル覚悟でガンガンぶつかられたら何ともならん。

その点、本田圭佑はゴリラなので弾き返す事も出来れば、逆に相手が痛める事も多々ある。何度も本田を潰そうと突っ込んだ相手が逆に本田に吹っ飛ばされて痛がっているシーンを見てきた事か、金髪ゴリラの名は伊達じゃない。

相性の問題もあり、特にアジア相手には香川真司より本田圭佑がトップ下に入ってボールを散らしている方がチームはスムーズに動くのだ。少しでもプレッシャーが少ないサイドからスタートし、本田が中央で暴れている間に本田より前に走りこみ、外から中にカットインしてパスを受けてシュートを受ける。これが理想だ。

または本田お得意の中央でボールを持って、サイドに近寄って行き、サイドの選手のマーカーが自分に寄った瞬間にパスを出してサイドの選手をフリーにしてパスを渡すプレイも生きる。

そのパスの受け手はゴールを奪える選手じゃないと困る、それが香川真司であり、岡崎慎司なのではないだろうか。勿論本田圭佑がゴールを奪う事も多いが、その辺りは正直格の違いかも知れない。

香川真司は代表で結果を残していない

チーム全体の事を考え、ザッケローニの要求を考えると、俺はトップ下は本田圭佑が適任だと思っている。だからこそザッケローニもそうしているとも認識している。

だが仮に香川真司も適任であると考えよう「トップ下」と言うあくまでスタートポジションに過ぎない物にこだわるとしよう。トップ下=王様とマスコミも思っているのだから、それできっと満足するのだろう。

だけど、選手が求めるポジションってのは普通「勝ち取る物」じゃないのかと。結果を出していない選手が、他に適任者がいる状況で「俺はトップ下が一番力を発揮出来るんです」と言っても「いや、その前に現状のポジションで結果出せよ」って話である。

普通は恐らくマスコミもそう報じるし、テレビでも実況解説はそう語るだろう。そうやって結果を残して初めて自分が求めるポジション、パスの受け方を要求出来るようになる。これは代表に限った話じゃないと俺は思う。

勿論よほど監督に期待されていれば最初から適正ポジションを与えられるだろう。だがそこで結果が出なければポジションを失う。そんなもんである。

香川真司はこの2年間、どれぐらい結果を残したのだろうか。本田圭佑は離脱していたが、本田と香川のどっちが代表を牽引してきたのだろうか、そう考えると俺は本田のように思う。

本田は香川がいない間も結果を残したが、香川はどうだったか…と思ってしまう。

ここまで行くと、俺がただの本田信者のようだが、俺は初期から香川真司と本田圭佑両方好き派である。単純に見ていて気に入らないのは、過剰な香川推しがあまりにも激しすぎる点だ。

気持ち悪さまで感じる香川推し

10番に関してもそうだが、香川真司推しが激しすぎて、本当に気持ち悪い。代表でそこまで結果を残していないのにエース扱い、トップ下トップ下とうるさい。

言えば言う程香川真司が追い詰められるだけな気がするのだが、それでもマスコミは香川信仰とトップ下信仰にどっぷりハマっている。

10番である香川はトップ下じゃないといけないのだ!そう言わんばかりである。見てると本当に気持ち悪い。

俺は香川真司はフィニッシャーだと思っている。だから正直マンチェスター・ユナイテッドの4-2-3-1のトップ下もあまり好きじゃない。どうせなら2トップの一角ぐらいの方が嬉しい。最後にゴールを決めるのは香川でいて欲しいからだ。

中央に張るのではなく、サイドに開き、そこから中に絞ってからのゴール。重要な選手になればなるほど、そういう動きがなければフリーになんてなれないしゴールも奪いづらい。だから俺はザックジャパンの香川の左サイドは賛成なのだ、そういう意図があると気付いてから特に肯定派になった。

勿論人には人の考えがあるのだから好きにすれば良いとは思うが…。本田圭佑が復帰してからザックジャパンに勢いが戻った。それが何を意味するかはわかっているはずだが、それでも世間は「香川トップ下」にこだわる、これが何か不思議でならない。

俺は2010年のワールドカップが終わった頃、これからは本田と香川の時代になる、と勝手に決めつけていた。でもその頃に俺が願っていたのは、10番を含めたよけいなプレッシャーは全部本田に向けて、香川を伸び伸びとプレイさせる事、だった。

本田はプレッシャーも含めて、モチベーションに変える術を学んでいる。ビッグマウスだの何だの言われ続けて叩き上げられてきたからだ。香川真司はそうだとは俺は思わない。本田程酷評されているのを見た覚えがない。

現状の香川が代表だと結果を残せないでいるのは、この辺りのプレッシャーが無関係じゃないと俺は思っている。何か色々残念な気がしてならない。

勿論香川真司はその程度のプレッシャーを跳ね除けて結果を残さなければならない、とは思ってますけどね…。

特に気持ち悪いトップ下信仰

香川信仰はまぁわからんでもない。マンチェスター・ユナイテッドでもプレイする日本人が出てくれば嬉しいし、そりゃ代表でも中心に据えてくれよ!って思う人が多いのもわからんでもない。

実際香川真司は良いプレイヤーだ、俺も大好きだよ。だけどさ、トップ下にこだわるのはどうよ、と。

本田圭佑と香川真司の適性がある程度トップ下なのはわかってるけど、その上で両方を活かす事が出来るようにするのが監督の仕事なわけです。そこでザッケローニが選んだのが本田トップ下、香川を左サイドに置いてのフィニッシャーって役割。

そこでマスコミが香川トップ下香川トップ下、と騒いでトップ下を神ポジション扱いするのがどうかなと俺は思う。

実際「司令塔」ってボランチやCBなわけだからね本来…。現に日本代表でそれやってるのは遠藤なわけだし。

仕方ない部分もあるかも知れないけど、でろブロを見ている初心者の方には伝えておきたいんだが

別にトップ下が王様なんてわけじゃない

って事だけは覚えておいて下さい。

試合中に頻繁にポジションチェンジもするし、ただのスタートポジションに過ぎませんから。

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