東電の新首脳陣、柏崎刈羽再稼働の必要性を訴え
[東京 28日 ロイター] 東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)の下河辺和彦会長と広瀬直己社長は28日記者会見し、福島第1原子力発電所の事故の影響で停止している柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働の必要性を訴えた。
また、電力の安定供給に支障が出るとして、原発に頼らない経営は難しいとの見解を示した。
両氏は27日の株主総会後の取締役会で就任。今後10年間の収支見通しを含む再建策を示した「総合特別事業計画」は、柏崎刈羽原発を2013年4月から順次再稼働させることが前提になっている。
下河辺会長は「再稼働ありきではない」としながらも、「再稼働のタイミングが大きく先延ばしになる場合は、悪い方向でのインパクトがあるのは客観的事実。事故発生直後に無担保で緊急融資してくれた金融機関の基本的な理解を頂ける内容でなければ、総合特別事業計画は計画たり得ない」と指摘。再稼働が「進まないと大変厳しい状況になる」と述べた。
さらに同会長は、東電が原発に頼らない経営構造に転換する可能性の有無を問われ、「経営の立場になった場合、5─10年後の時間軸で原発に頼らないで安定供給を果たすことは考えにくい」と、否定的な姿勢を示した。
下河辺会長は、福島第1原発事故に伴う廃炉費用の負担のあり方にも言及。「当面の間、国に積極的に取り組んでいただくよう協議をお願いしたいと考えているわけではないが、東電だけでは対応しきれないという問題意識があり、状況次第では国で検討していただきたい」と語った。除染費用の負担についても同様の見解を示した。広瀬社長はこの点について、「出来るだけのことをする必要はあるが、事故がらみの費用と従来の電気事業をどう両立させるかは、国にも議論していただきたいと思っている」と述べた。
このほか下河辺会長は、27日に退任した勝俣恒久前会長の影響力が東電に残るのかとの問いに対して「今後の影響力は全くないし、あっては困る」と強調。社長、会長経験者を「社友」として処遇する制度の廃止を検討すると述べた。
(ロイターニュース、浜田健太郎)
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