全国の有料道路事業者が統一的に実施する、有料道路における障害者割引制度の趣旨は、通勤、通学、通院等の日常生活において、自家用車を利用されている障がい者のお客さまに対して、通行料金を割り引くことにより、走行条件の良い有料道路を快適にご利用いただき、自立と社会経済活動への参加を支援するために実施しているものです。
一方、現在の有料道路制度は、道路の建設・管理等に要する費用を借入金でまかない、お客さまからいただく料金収入で借入金を返済していくことで成り立っております。
割引に伴う減収については、国や自治体からの助成はなく、他のお客さまからいただいた通行料金が財源となっております。
安易な割引適用範囲の拡大は、減収をさらに増加させることになり、採算に与える影響が無視できないものとなるおそれがあります。
このため、割引適用の対象となる自動車の範囲については、他のお客さまから広く理解を得られるものとする必要があるため、一定の要件を設けるとともに、不正利用防止の観点からも厳正な運用をさせていただいております。
したがいまして、この制度が適用される自動車の範囲につきましては、お客さまが自立した日常生活を営むうえで、通常必要と考えられる利用に限定することとし、一般的には日常生活に密着した移動手段として使用する自動車は1台であると考えられることから、ご本人様またはその親族等の方が所有する自家用車(乗用タイプのもの)1台を対象としており、重度の障がいをお持ちの方については、ご本人や親族等の方が自動車をお持ちでない場合に限り、継続して日常的に介護している方の自家用車(乗用タイプのもの)1台を対象としております。
対象自動車については、あらかじめ福祉事務所等において車種要件、所有者要件を満たしているか確認のうえ、身体障がい者手帳または療育手帳に自動車ナンバーを記載することとしており、手帳に記載された自動車と異なる自動車であれば、割引の対象外となります。
手帳に記載された自動車と異なる自動車について、個々の事情を判断し、割引対象であるか否かを判断することは事実上困難であるとともに、不正利用につながるおそれもあります。
なお、車検等の代車を割引対象外とすることについては、期間も限定されており、障がい者の社会的自立と社会経済活動への参加を阻害するまでには至らないと考え、車両を限定させていただいております。
また、有料道路の料金は、鉄道等のように1人1人の利用者からいただくのではなく、1台1台自動車からいただくものです。(道路整備特別措置法第24条)
したがいまして、1台の自動車に複数の人が乗車しても同一の料金となってしまうため、むしろ主として割引の対象となる障がい者以外の方を利する結果となるような乗車定員の多いマイクロバス等や、営業の手段として利用される貨物自動車等は割引の対象としていません。