米国が最近、フィリピンのパラワン島に海兵隊の配備を計画していることを、共同通信が4日付で報じた。パラワン島は、中国と東南アジア諸国が領有権をめぐって対立している南シナ海に面している。フィリピン海兵隊の関係者の話によると、米国はパラワン島西部に前進基地を設置し、海兵隊約50-60人を駐屯させる方針だという。米国は、1992年にフィリピン議会の決議に従い、スービック湾にあった大規模な海軍基地から部隊を撤収させた。
パラワン島は、現在フィリピン・中国・ベトナムなど6カ国が領有権を主張している南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)に、地理的に最も近い位置にある。約50の島や岩礁からなる南沙諸島は、付近の海底に膨大な量の石油や天然ガスが埋蔵されていることが分かっており、このところこれらの国々の間で領有権をめぐる対立が激化している。
最近は、特に中国とフィリピンの間で対立が激化している。今年4月には、フィリピン海軍が南沙諸島のスカボロー礁(中国名:黄岩島)に近い海域で操業していた中国漁船を拿捕(だほ)しようとしたところ、中国の軍艦が出動し、対立が起きた。また今年7月末には、フィリピンが占有しているパガサ島の周辺海域に、20隻ほどの中国漁船が出現した。
フィリピンは、パラワン島のフィリピン海兵隊基地を米国との合同作戦指揮所に改造する一方、同基地内部の滑走路を延長し、米軍の輸送機が離着陸できるようにする計画だという。