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[台風12号1年]十津川、産業復興進まず 小辺路案内前年比16分の1◆村、懸命に観光情報発信 昨秋の台風12号で大きな被害を受けた十津川村で、観光や林業など村を支えてきた産業の復興が風評被害もあって進んでいない。村などは立て直しに懸命だ。(守川雄一郎、森安徹) 屈指の観光名所で、生活用のつり橋としては国内最長の「谷瀬のつり橋」(長さ297メートル、高さ57メートル)。通った人は今年の7月で前年比4割減の7910人、8月も3割減の約1万6000人と振るわなかった。お盆の時期に安全対策で行う橋の通行規制も必要なかったほどだ。 村内の世界遺産を訪れる観光客も低調だ。「紀伊山地の霊場と参詣道」を構成する「小辺路(こへち)」(約70キロ)を案内する地元のグループ「鼓動の会」によると、申し込みは4〜8月で約50人。約800人いた昨年同期の16分の1に激減した。 村観光協会の会長田花敏郎さん(59)は「まだ道路が通れないと勘違いされている。川が危険だという風評被害もある」と頭を抱える。 林業も深刻だ。村農林課によると、山林261ヘクタールが被害を受け、流れ出した木は推計数万立方メートルに上る。復旧には莫大(ばくだい)な費用がかかるという。 村森林組合常務理事の弓場耕一郎さん(64)は「こうした災害を防ぐためにも山の手入れは欠かせないが、ベテランの多くが災害復旧に取られてしまっており、このままでは山が荒れてしまう」と気をもむ。 養殖の復興も道半ば。豪雨による土砂崩れで、山の湧き水をアマゴの養殖池13か所に引く延長約2キロの導水管が破損するなどして、約3万8000匹全ての放流を余儀なくされた。導水管は仮復旧したが、雨が降るたび濁り、土砂が詰まって断水することも。きれいな水が常時必要な養殖には不向きで、池にも使えないという。 川の水深が流れ込んだ土砂で浅くなったため、夏場のアユ漁も見送った。村漁業協同組合の勝山典男さん(43)は「水質が元に戻るまで様子を見るしかない。再開できても2年はかかるだろう」とため息をつく。 ◎ こうした現状を踏まえ、村や県などの対策も進む。 村は落ち込んだ団体観光客を呼び戻そうと、昨年11月から10人以上の団体ツアーを実施した旅行業者に客1人当たり1500〜3000円を支給して今年3月までに約980人を誘致した。また、県が観光復興のために発行したプレミアム(割増金)付き宿泊旅行券の売れ行きも好調だ。 村や村観光協会は県内各地や東京都、大阪府、名古屋市などで開かれる観光イベントに月に3、4回のペースで出展し、村内の温泉の湯を使った足湯や特産品販売などでPRに励む。 村観光振興課の松実崇さん(31)は「温泉や道路が復旧し、水害前と同じように観光できると情報発信を続けていきたい。村を訪れてもらうことが復興につながる」と話す。 林業を巡っては、まず復興住宅の建築資材に地元の木材を使う予定だ。このほか、今年4月にできた村森林組合の木材加工流通センターも、林業再興の拠点として期待を集める。 (2012年9月5日 読売新聞)
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