大使車襲撃:男2人を行政拘留…中国当局、逮捕・起訴せず
毎日新聞 2012年09月04日 21時22分(最終更新 09月04日 23時39分)
【北京・工藤哲】丹羽宇一郎駐中国大使の公用車が襲撃され、日本国旗が奪われた事件で、在中国日本大使館は4日、北京市公安当局が2人の男を「治安管理処罰法」に基づき5日間の行政拘留処分にしたと明らかにした。中国公安当局から同日、通報があったという。
日本大使館によると、公安当局が処分したのは、河北省出身の郭という男(23)と黒竜江省の夏という男(25)の2人。事件から2日後の8月29日午後、河北省滄州市で当局に拘束された。2人は国旗を掲げた大使館の公用車を妨害して停車させ、国旗を奪い去ったことを認めているという。国旗を奪った男が使っていた安徽省ナンバーの白いBMWに乗っていたと見られる。
外交官の地位を規定したウィーン条約では、派遣国が国旗を掲げる権利や接受国が自国内の移動の自由を確保する義務などを定めており、大使公用車襲撃事件は同条約に抵触する可能性があった。しかし、公安当局は、衝動的で計画性はないと判断。負傷者がおらず犯罪程度も軽いなどの理由から逮捕・起訴を見送り、軽犯罪に適用する治安管理処罰法に基づいて処分することで、事件の幕引きを急ぐ意向とみられる。