社説:視点・大阪府改称問題 「都」のハードルは高い

毎日新聞 2012年09月05日 02時30分

 だからといって「都」の名称と首都の要素が無関係とも言えない。戦時中の1943年、旧東京府を廃止し都制が敷かれ「東京都」が誕生した際、政府は「帝都たる東京」で新体制を発足する意義を強調した。単なる大都市ではなく、皇居のある帝都という意味合いが「都」の名称にこめられたとみるのが自然ではないか。

 もちろん現在の東京都は戦中の都制とは異なる。だが、名称問題に与野党は基本的に冷淡だ。議論が唐突だった以上に、やはり「元首がいて、国会があるところが都」(石原慎太郎東京都知事)という意識が少なからず働いているように思える。

 橋下氏は「都」以外の候補として「大阪州」も過去に言及している。この場合、橋下氏が目指す道州制との関係が逆に混乱しかねないきらいがある。

 明治維新後、旧幕領など10程度の要地を「府」と称していた。これが1869年の太政官布告で東京、大阪、京都の3府に限定された。三都を別格扱いした呼称なのである。

 私の身近にいる大阪出身者の一人は「『大阪特別府』で手を打てませんかね」と言うが、難題だ。道州制の具体案を議論するような時まで改名の件は先送りし、由緒ある「府」として特別区構想の実現に専念するのが得策に思える。(論説委員・人羅格)

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