社説:視点・大阪府改称問題 「都」のハードルは高い
毎日新聞 2012年09月05日 02時30分
いわゆる「大阪都構想」をめぐり、大阪府の名称変更論議が起きている。成立した新法は大阪府市を東京都と特別区に似たスタイルに改めることを可能とするが法律上、あくまで「府」の名称は維持されるためだ。
橋下徹大阪市長は名称変更を求め、新たな立法を主張している。だが、もし「都」への名称変更を目指すのであれば、政治的なハードルはさきの新法以上に高いかもしれない。
橋下氏は著書「体制維新−大阪都」で「名称は『都』でも『府』でもなんでもいい」と記し、もともと名称に無頓着だった。だが、地方制度改革の一里塚と位置づけるため、変化の証しが必要と判断したのだろう。
「府」を「都」と改称することは法律上不可能ではない。
「首都は東京だからダメ」との説明は必ずしも正確ではない。地方自治法上、都の名称は首都に限定されていない。
そもそも東京を首都と直接定めた法律はなく、実態としてそう位置づけられている。戦後、「首都建設法」という法律があったが「首都圏整備法」に引き継がれ廃止された。特別区を抱え、首都機能を分担する広域自治体に「都」と命名する選択はあり得る。