85年前の道路計画で京都市と住民対立 左京・北泉通
85年前の道路計画をめぐり、京都市と住民が対立している。1927(昭和2)年の都市計画決定に基づいて左京区松ケ崎で北泉通拡幅と高野川への架橋を進めようとしている市に対し、沿線住民らが事業の凍結を求める3711人分の署名を提出した。北泉通沿いに左京区役所が移転し、市は道路の重要性を強調するが、住民側は「社会情勢が大きく変わっている」と計画見直しを訴えている。
北泉通は、下鴨中通の京都府立大前から京都工芸繊維大の南側を経て白川通までを東西に結ぶ約2・2キロの都市計画道路。すでに92%の工事が完了し工繊大南東部分の道路拡幅と高野川への架橋を含む約170メートル区間の整備が残っている。
市は2011年5月に左京区役所が北泉通沿いへ移転することを踏まえ、09年8月に未整備区間周辺の住民を対象に道路拡幅と架橋に向けた住民説明会を開催したが、10世帯程度で敷地の一部が収用されることなどから、反発している。
自宅敷地が拡幅区間に含まれる赤井清一さん(77)は計画は知っていたが、「当面は拡幅がないと市から聞き、自宅を改修した住民もいる。85年も前の計画を検証もなしに実行に移してよいのか」と憤る。
市は10年度に財政難などで長期間事業化されなかった都市計画道路を見直し、未着手路線138路線のうち、昭和初期に計画された路線を含む43路線を廃止したが、この中に北泉通は含まれなかった。道路延長の90%以上が完成していることに加え「区役所が移転し、防災上の観点からも道路整備の必要性があると判断した」(都市計画課)という。
すでに未整備区間の事業認可を府から受け、2017年度末の全線開通を目指している。市道路建設課は「道路の必要性を説明し、理解を求めていきたい」としている。
【 2012年09月03日 08時39分 】