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旧陸軍機 湖底から引き離し成功

(09/04 11:04)

湖上の台船から引き揚げ作業を行う関係者ら=3日午前11時ごろ、瞰湖台展望台から撮影

湖上の台船から引き揚げ作業を行う関係者ら=3日午前11時ごろ、瞰湖台展望台から撮影

 十和田湖に沈んでいる旧陸軍の「一式双発高等練習機」とされる機体の引き揚げに再挑戦していた県航空協会の有志らが3日までに、機体を深さ57メートルの湖底から引き離し、水面下十数メートルまで浮上させることに成功した。昨年3月の最初の試みでは機体の一部が泥に埋まっていたため、湖底から引き離せずに引き揚げを断念。8月下旬に着手した再挑戦も難航していたが、ようやく難関を乗り越えた。陸揚げまでにはさらに数日かかる見通し。

 引き揚げ作業を行っているのは、県航空協会会長で県立三沢航空科学館館長の大柳繁造さん、元県議で海洋土木会社「青洋建設」(青森市)会長の高橋弘一さん、海洋調査会社「ウインディーネットワーク」(東京都)の杉本憲一社長ら。

 機体は、台船に設置されたウインチと空気圧を利用した装置で2日から3日にかけて湖底から浮上させた。現在は、水中にベルトでつり下げられた状態という。今後、宇樽部地区の造船所まで台船ごと運んで引き揚げる予定。三沢航空科学館での展示が検討されている。

 8月24日に始まった再挑戦では、湖上の台船からダイバー2人が連日潜り、機体や湖底の状態を調査するなど引き揚げに向けた準備を慎重に進めてきた。だが、今回も二つの車輪と左エンジンの一部が粘土質の泥から抜けずに作業は一時、難航していた。

 大柳会長は取材に対し「湖底から引き離す作業に伴い損傷は避けられなかったが、復元できる状態。ようやく引き揚げのめどがつき、ほっとしている」と話した。

 旧陸軍機は、湖底の地形を調査していたウインディー社が2010年8月、御倉半島と中山半島に挟まれた中湖の湖底で発見。戦時中の1943(昭和18)年9月に不時着水して沈んだ一式双発高等練習機とみられ、ほぼ原形をとどめていた。貴重な歴史遺産として、有志らが国の同意を得て引き揚げを目指してきた。

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