2012年09月04日

子ども達の未来のために「木を植えよ!」「鎮守の森をつくれ!」2008年03月08日

昨日、東芝グループの環境展で素晴らしい講演を聞くことができました。
演題は「命の森を東芝グループから世界へ」〜エコロジーのシナリオに従って〜です。

講師は、世界中の森林を再生し続ける植物生態学者の宮脇昭博士です。宮脇昭博士は環境界のノーベル賞とも言われているブループラネット賞も受賞されています。

今日は講演を聞いた感想を書きたいと思いますが、まず宮脇博士のプロフィールとこちらの本の紹介文をご覧頂きたいと思います。

宮脇昭博士のプロフィール(NPO地球の緑を育てる会のホームページより)
http://www.greenglobe.jp/

木を植えよ!  宮脇昭著
<商品の説明>
植物生態学者の著者が、森と文明、日本人と森の関係、正しい植樹方法などを論じる。人類は文明の発達とともに森を開発の邪魔者とみなし、破壊してきた。日本人も樹木を伐採し、水田や畑を耕し、街を作ったが、文明国・先進国の中では唯一、森を「皆殺し」せず、「ふるさとの木によるふるさとの森」を残してきた。しかし、ここ半世紀ほどは残された最後の森を破壊し、人工環境、人工都市を形成している。著者は今こそ、森と共生する生き方を見直し、本物のふるさとの森を作るべきだと訴える。その際には「潜在自然植生」を考慮して主木の樹種を選ぶことなどが重要と指摘する。

<出版社/著者からの内容紹介>
緑化であれば、どんな草木でもいいわけではない。潜在自然植生、すなわち「正しい森」こそ、災害に強く、手間がかからず、半永久的に繁り続ける。日本人は、先進国の中で唯一、森を皆伐しなかった。そして、日本列島ほど森の生育環境に適した国はない。照葉樹林文化をルーツとする日本人は、今こそ率先して人類を救う正しい木を植えるべきだ。「鎮守の森論」から「森と文明について」「実用的な植樹の方法」まで、「実行する植物生態学者」宮脇昭の60年にわたる森林哲学と植樹方法のすべてが分かる決定版。

講演の感想です。
まさに「情熱」を感じました。地球と人類の未来のために全知全能を傾けていらっしゃる日本の「宝」と呼んでも過言ではない方であると実感しました。
私が感銘を受けた言葉は「命を守る本物の森をつくることは21世紀の哲学である」というものです。

林業家が職業として木を植えるのではなく、私達地球人の遺伝子を「宇宙の奇跡」と言われるこの地球に残していくために木を植える、子供達の未来のために本物の森をつくっていくという思想であり、社会貢献活動としての植林などは「甘い」と一蹴されていたと私は受け取りました。

さて、私はかねてから日本の森林をフロンティアスピリッツにより開拓すべき時に来ていると提唱しています。今回の宮脇昭博士の講演を聞き、さらにその意を強くした次第です。

宮脇昭博士は「鎮守の森」のようにブナ科やクスノキ科のシイ、カシ、タブなどの照葉樹による「本物の森」と人間が手を加えなくては維持できない「ニセモノの森」に分けて考えていらっしゃいます。私はさらに「ニセモノの森」の中には「最悪の森」が含まれるものと考えています。

それは誰もが知っている杉やヒノキの人工林です。宮脇昭博士によりますと杉は生命力が弱いため、子孫を残そうと一生懸命花粉をまきちらし、多くの人を花粉症で悩ませているのだそうです。

私は、この杉やヒノキの人工林を開拓し人間のための森林に、そして地球や地球に共存する動植物のための森林に再生させる「脚本」を提示させていただいております。

「脚本」の提示も含め、人間の全ての言行は思想から生まれますが、私は「命の森づくりは哲学である」とする宮脇昭博士と同じ考えであり、氏の描く大きな大きなミッションを達成するための実践者の一人でありたいと強く思います。

ここから話が少し変わります。それは宮脇昭博士の理論と映画「もののけ姫」と私が住む東村山市の「淵の森問題」の関係と言ったら良いのでしょうか。
「もののけ姫」と「淵の森問題」に共通するのは宮崎駿監督の「森への思いと考え方」ですが、それは宮脇昭博士の「命を守る森の考え方」と一致するのではないかという私の考えを記してみたいと思います。
淵の森問題に関しては、宮崎駿監督が会長を務められている「淵の森保全連絡協議会」のホームページをご覧ください。
昨年11月に東村山市が公有地化することを決定し、祝賀会が執り行われた際に宮崎駿監督はこのような発言をされています。

<引用開始>
ここは社(やしろ)はないけど、昔の「鎮守の森」だと僕は思ってる。とすると、「八郎山」というのは、鎮守の森の奥の院で、手を出してはいけない所でね。どうも宗教がかってますけど。そこが木を切るというんで、ちょっと何とかしなきゃいかんな、と。人が手を出してはいけない神様の土地だと僕は勝手に思ってた。

人間のためだけの土地じゃないんですよ。虫とか鳥とか植物のための土地だから。魚のためでもあるし。そういう意味では、人が入らない場所があった方がいい。青ゲラとかに任せておけばいい。

川や緑地との付き合い方を、もっと柔らかくしなければと思う。落ち葉が出るから木を切れって言う。そういう人たちには早くいなくなってもらうしかないんですよ。ここの道は、ボランティアで落ち葉を掃いてくれてる人がいる。来年には粉になっちゃう。何も起こらない。落ち葉でといが詰まるというなら、自分で上って掃除すればいい。
<引用終了>
11月13日 朝日新聞より

私は、宮脇昭博士の「鎮守の森」理論を宮崎駿監督がご存知なのかご存知ないのかは知りませんが、もののけ姫には、照葉樹林が見事に描かれていること、シシ神の森が「命の森」と考えられることなどから、宮崎駿監督と宮脇昭博士の思想は基本的に同じであると確信するに至りました。

そして、宮崎駿監督のその思想を体現させた場所が「淵の森」であろうと私は考えます。「森は人間だけのものではない、地球やこの星で共存するあらゆる生物の共有財産である」これが偉大なる両雄に共通する思想である、私はそのように思います。

最後に、私は以前に宮脇昭博士と同様に素晴らしい「情熱」を持たれた方とお会いしたことがあります。その方は東京ディズニーランドの生みの親である高橋政知氏です。

東京ディズニーランド開園当時平社員であった私に対しても「中村さん、頑張りましょうね」と情熱的に語りかけていただいた時のことを私は生涯忘れることはないでしょう。
昨日も宮脇昭博士と握手をさせていただきましたが、その時の宮脇昭博士の「目の輝き」はまさに高橋政知氏のそれと同じでした。

素晴らしい方の素晴らしい講演を聞くことができたのは、東芝グループの環境展のおかげです。東芝グループの方々に心から感謝の意を表したいと思います。有難うございました。
posted by S・C・ NAKAMURA at 18:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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