アジア

ハンファ会長に実刑判決、韓国経済界に激震

経済民主化で、財閥オーナーの犯罪にも厳罰主義か

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 ハンファグループの会長に実刑判決が出た事件の概要はこうだ。会長が偽名で大株主になっていた事業の業績が悪化したため、グループ企業に負債を肩代わりさせていた。さらに、別のグループ企業の株式を姉に安値で売却していた。

 これらの取引でハンファグループに3000億ウォンの損害を与えたとされる。ひとことで言えば、「会社の金は自分のもの」という勘違いから生まれた犯罪だが、韓国の財閥オーナーに多い、典型的な公私混同の事件だった。

通じなかった「部下がやったこと」の言い訳

 会長は、「部下が独断でやったことで自分は関与していない」と裁判で述べた。これまた財閥オーナー会長の犯罪ではよくあることだ。

 部下が「自分が独断でやりました」と認め、罪をすべてかぶる例も少なくなかった、今回は、この「罪の押し付け」が通じなかった。それどころか、裁判長は「会長は神のような存在だ」として、部下が一存で決められるはずがないと判断。会長のこうした言動を「まったく反省していない」と批判した。心証を著しく損ね、実刑判決と法廷拘束の一因となってしまった。

 ハンファグループというのは、ダイナマイトなどを製造した韓国火薬を中核に設立され、その後、レジャー、流通、金融、建設などに幅広く進出した。

 日本人観光客にもおなじみのソウルのプラザホテルやギャレリア百貨店もハンファグループの企業だ。このほか、生保大手の大韓生命保険を買収して、金融部門も急拡大中だ。

 公正取引委員会が2012年4月に発表した財閥の資産規模によると、ハンファグループの資産規模は34兆ウォンで、公企業を除く韓国財閥で10位。立派な大手財閥だ。

20代で総帥に、たび重なる有罪

 金昇淵会長は創業者の長男。1981年に20代で2代目会長に就任してから、グループを急拡大させた。

 30年間にわたって、重要な経営判断はずべて自ら下してきた。その経営手腕を高く評価する声は強い。こわもての印象があるが、グループ内では「部下の話をよく聞くオーナー」だと言われている。

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