現政権は、事あるごとに就業者増加率などの雇用指標を業績の一つに掲げる。李明博(イ・ミョンバク)大統領は先月15日、光復節(日本の植民地支配からの解放を記念する日)記念式典のあいさつで「主要国のうち、雇用率が2008年の(世界金融)危機以前の水準に回復した国は韓国とドイツだけだ」と誇らしげに語った。だが、本紙が経済協力開発機構(OECD)の雇用指標を分析した結果、臨時職・低賃金労働者の割合などで表わす「雇用の質」は、OECD加盟国など39カ国のうち最低水準だったことが分かった。
■労働時間は長く、賃金格差大きい
韓国は労働時間が最も長い国の一つだ。韓国人の2010年の年間労働時間は平均2193時間で、OECD加盟国のうちメキシコの2242時間に続いて2番目に長い。OECD平均の1773時間をはるかに上回り、最も短いオランダと比べると59%長いことになる。
また、賃金格差が大きいことも問題点として指摘される。労働者の賃金水準を9等級に分類した場合、2010年基準で韓国の1等級(上位11%)の賃金は9等級(下位11%)の4.7倍で、米国に続き2番目に格差が大きかった。2000年の4.0倍よりさらに悪化している。一方で同期間、OECD平均は3.1倍から3.3倍と小幅な悪化にとどまった。
■パートの増加率、OECD加盟国で2位
韓国の時間労働者(パート)の割合は昨年が13.5%で、OECD平均(16.5%)は下回ったものの、ここ16年間の増加幅はアイルランドに続いて2番目に大きかった。1995年(4.3%)から昨年にかけて9.2ポイント上昇した。
また、昨年の時間労働者のうち男性の割合は43.5%で、OECD平均(30.7%)を大きく上回り1位となった。一般的にパートは女性の割合が多いが、韓国では相対的に男性が多いというわけだ。家長の男性が条件のよい仕事を見つけられず、パートで働くケースが増えていることも、こうした現象の一因となっている。また、韓国の25-54歳の労働者のうち臨時職の割合は19.3%で、OECD加盟国のうち5番目に高い。OECD平均の9.9%に比べると、約2倍に達している。
ある経済学者は「韓国は量的な雇用指標は良好に見えるが、社会のセーフティネットがぜい弱で、生計を立てるために低賃金でも働こうとする人が多いため、質的な指標はよくない」と指摘した。現代経済研究院のイ・ジュンヒョプ研究委員は「単に雇用率がどれだけ増えたかではなく、雇用の質がどれだけ改善したかを基準に、政府の雇用政策を再評価すべきだ」と指摘した。