「ピンク・フロイドのニック・メイスン著『Inside Out』を注文」からの続きです。
この本は、ハードカバー、ペーパーバックスのほかに、オーディオブックと、Kindleで読めるeBookも出ているのでした(2011年9月発売)。
米国amazonで9.99USDというお手軽なお値段なので、結局買ってしまいました(AbeBooksに注文した本は、たいてい10日から2週間ぐらいかかるのです)。
Kindleは端末としては持っていないので、MacやPC、iPadなどで使えるフリーアプリケーション。
よく考えたら、これが初購入のKindle eBook。
だいぶ前に無料のeBookから童話をダウンロードしたことはあるのですが、挿し絵がないので魅力的とは言いがたく、それっきりになっていたのでした。
さて、内容ですが、わたしの環境では日本語辞書が使えないこともあって、まずは巻末の年表と写真集を見ることにしました。
年表。
ピンク・フロイドとの関わりを中心にしたニック・メイスンの年表だろうと思っていたのですが、そうでもないような……。でもまぁ、誰と結婚したとか、子どもが生まれたとかは、ニックのだけで、他のメンバーについては出ていないようです。
フロイドの事柄としては、アルバムのリリースとツアーが中心です。
音楽とは別に彼のライフワークになっている、車とかカーレースに関する事柄は、思ったほど多くはなくて、むしろエリザベス二世即位とか『アンネの日記』出版とかの、社会的な事柄が目につきます。
ニックは、70年代の始め頃までのフロイドのアルバムではサウンドエフェクト面で結構仕事してる人ですから、この年表にDATの初登場が出てくるのはごもっともなのですが、Apple Macintoshのデビューや任天堂ゲームボーイの発売まで加わっているのがおもしろいところです。
この年表、リックの誕生から始まって、リックの他界で終わっているというのが、しみじみとしてしまいます(リックは1943年7月28日生まれ。同い年のロジャーは9月6日生まれなので、年表の二番めに出てきます)。
写真集。
この本の発売当時のレビューで、ネットには出回っていない写真が多いと書かれていたのですが、その通りですね。
十代の頃だと、フロイド加入前のニックのバンドとか、建築学校の教室でロジャーといっしょに製図板に向かうニックとか。
二十代になってからだと、バンドメンバーと家族ぐるみの旅行風景もあったりします……ロジャーの奥さんのジュードがリックの子どもを抱いていたりして、リックの奥さんのジュリエットもいる、1970年のサントロペ。
1972年のローラン・プティ振付〈ピンク・フロイド・バレエ〉の写真は、ダンサーたちと同じステージでフロイドが演奏しているときのもの(これもほんとにめずらしいのです。わたしの知るかぎりでは、むかし〈Pink Fan〉というファンジンを編集発行していらした今井壮之助さんのWebsiteにある数枚の写真ぐらいです)。
全体的には、70年代の写真が中心になっています。
75年の『炎』レコーディング中のアビーロード・スタジオの数枚のなかには、四人の前に突然現われたシド・バレットの写真もありました……正直なところ、これが唯一のショックでした。スキンヘッドに近いくらい髪が少なくなっていたとかは、むかし雑誌の記事で読んだことがあるのですが、その日のシドを撮影した人がいたとは……(でも現実として認めなきゃいけないと思ってニックもこの本に載せたのでしょうね)。
偶然ですが、昨日19日の夜、WOWOWでやっていた、洋楽主義 ピンク・フロイド ドキュメンタリー『炎 - あなたがここにいて ほしい』を見たばかりです。
そのなかにも、アビーロード・スタジオに現われたシドの、その写真が登場していました。
眉毛が剃り落とされてなくなっている姿からは、映画『The Wall』のピンクを思い浮かべてしまいました。映画では「Nobody Home」で髪の毛や眉を剃り落としたあと、ピンクはリクライニング・チェアーに座ってテレビを見ながら少年時代の回想に耽っていきます。
この映画のことは、いずれまた別の記事で書きたいと思います。
さて、話はニックの本のことに戻ります。
タイトルの『Inside Out』、なんとも意味深というか、英和辞書にある意味は〈裏返しに引っくり返して〉〈裏の裏まですっかり〉、用法としては、シャツを裏返しに着るとか、ロンドンのことなら裏の裏まで知っているとかが出ていました。
この本のオリジナルのハードカバーの表紙(byストーム・ソーガソン)も意味深というか、本のタイトルを象徴しているような気がします。アルバムジャケットの『ウマグマ』『エコーズ - 啓示』に繋がる感じもありますね。
アルバムカバーアートに興味があるわたしとしては、ペーパーバックスのシンプルな表紙では物足りないというか、やはり、ハードカバーの到着が待ちどおしいです。
本文の装幀でニックの手がけたイラストデザインが見られるのも、ハードカバー版の見どころだと思います。
↑品切れの2005年版。
初版の2004年版は五桁のお値段。
それ故で米国のAbeBooksで買うことに…。
初版の2004年版は五桁のお値段。
それ故で米国のAbeBooksで買うことに…。