中韓との相克…「お人よし」日本、通貨政策の転機 (1/2ページ)

2012.9.2 12:30

 「夜郎自大」さながら日本を見下す韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領、魯迅の「阿Q正伝」描く民衆よろしく付和雷同して「小日本」を叫ぶ中国人デモ。李氏の竹島、中国系活動家の尖閣諸島への不法上陸を機に、日韓、日中の協調ムードに冷水がかかったが、中韓との相克は、国際的にもまれな「お人よし」日本の対中韓経済政策見直しの好機である。

 もともと、今回の紛争が起きなくても、3カ国の経済協調の現行の仕組みは脆弱(ぜいじゃく)な基盤の上に成り立っていた。最大の欠陥は、肝心の通貨・金融分野が一方通行でしかない点だ。中国の場合、日本など海外の企業や金融機関の人民元保有や売り買いを限定する。人民元相場を管理して安い水準に維持して輸出攻勢をかける。中国は思う存分に日本の企業、水源地の山林を含む不動産や国債、株式を買いまくるくせに、自国への日本などからの資産投資を厳しく制限する。

 韓国の場合、円に対する通貨ウォンの超安値を放置し、サムスンなど韓国企業の対日競争力を飛躍的に高めてきた。

 2国間や多国間の経済関係というのはいくら「自由」「協調」「互恵」など教科書的な美辞麗句で飾られようとも、内実は自国にとって都合のよい仕組みを他国に押し付け合うゲームなのである。なのに、日本は中国と韓国に対して唯々諾々と言いなりになってきた。

 それは「アジア随一の先進国」の度量だったかもしれないが、状況はとっくに変わった。日本は「20年デフレ」で国力は衰退を続け、他方の中韓は増長著しい。李大統領は竹島上陸のあと、日本の国際社会での影響力について「昔と同じではない」と述べたそうだが、侮りに近い対日観は中国にも共通しているはずだ。

韓国にとってよいとこずくめ、日本にとっては自壊装置…