特集ワイド:原発の呪縛・日本よ! 城南信用金庫理事長・吉原毅さん

毎日新聞 2012年08月03日 東京夕刊

インタビューに応じる城南信用金庫の吉原毅理事長=猪飼健史撮影
インタビューに応じる城南信用金庫の吉原毅理事長=猪飼健史撮影

 <この国はどこへ行こうとしているのか>

 ◇「お金は麻薬」戒めに−−城南信用金庫理事長・吉原毅さん(57)

 経団連の米倉弘昌会長が、政府のエネルギー・環境政策の基本方針に「脱原発依存」が盛り込まれたことに、猛反発したと伝えられた。米倉氏や経団連役員は、防護服を着て、線量計の針が振り切れるほど放射線量が高い地を歩いたことはあるのだろうか。

 この人は、ある。

 昨年4月に「脱原発宣言」を発表した城南信用金庫(東京都品川区)の吉原毅理事長。昨年11月14日、東京電力福島第1原発事故で立ち入り禁止となった警戒区域内に入った。

 東日本大震災で被災したあぶくま信用金庫(福島県南相馬市)が内定の取り消しをせざるを得なかった採用予定者を、城南信金が採用した。その報告に福島を訪れた時のことだ。あぶくま信金の支店調査に同行して目にしたのは、「3・11」から時間が止まったままの、人の姿が全く見えない町だった。

 「大地震、津波では命を失わなかったのに、動けず、原発事故の避難命令で助けも来ず、餓死などで亡くなった方もたくさんいるとお聞きしました。『福島の原発事故による放射能の影響で亡くなった人は一人もいない』と言った電力会社社員がいましたが、とんでもないことです。現代人は、先祖代々のふるさとを喪失してしまったことの罪の重さ、未来の子供たちへの責任を分かっていない」

 白い防護服を身にまとい、原発から約3・5キロ、うっすらと建屋が望める場所に立った時のことだ。「線量計の針が振り切れるほど反応し、ビーッという音が響いた」

 だが、不思議と海岸近くに移動すると線量計の値は下がった。「放射性物質が風で流れたベルト地帯があるんだと分かりました。あぶくま信金の方に『東京に流れていたら、東京も同じ状況だったかもしれませんね』と言われました。この時、東京はたまたま直撃を免れただけなのかもしれないと気がついた」

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