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松くい虫で空中散布計画 揺れるマツタケ産地の松本市四賀 09月03日(月)

松くい虫の被害に遭い、伐採後に薬剤処理された丸太が並ぶ松本市四賀地区の山林

 県内有数のマツタケ産地で、農産物の有機無農薬栽培も盛んな松本市四賀地区が、松くい虫被害対策として農薬の空中散布をするかどうかで揺れている。マツタケが採れる松林の所有者らでつくる対策協議会は来年度に始める方針を打ち出したが、有機無農薬栽培に取り組む人たちはイメージダウンを懸念。空中散布が健康に与える影響について専門家の意見が割れていることもあり、歩み寄りを難しくしている。

 「マツタケを守るにはしゃあない」。8月下旬に対策協が4回開いた空中散布の住民説明会で、松林所有者の男性が主張すると拍手が起きた。香りや歯応えで評価が高い四賀地区のマツタケ。採取権の入札で数百万円の値が付く林もあり、別の男性は「放置すると四賀の活力が失われる」と散布に賛成した。

 同地区の2011年度の松くい虫被害は、市全体の6割超の1260本に上った。本年度は11年度の同じ時期を上回る被害が確認され、松林所有者ら18人が6月に対策協を設立。「最も効果的」という無人ヘリコプターによる散布方針を決めた。

 ただ、四賀地区は旧東筑摩郡四賀村時代の1990年代から、有機無農薬栽培で地域おこしを推進。「ゆうきの里」とPRし、都市部からの移住者も引きつけてきた。2年前に移り住み、自然農法に取り組む女性は、説明会で「無農薬ブランドは守られるのか」と発言。移住を準備中の女性も「骨をうずめる覚悟だったのに…」と残念がった。

 こうした住民ら20人余りは8月、「四賀里山のくらしを考える会」を設立し、散布が健康に与える影響などを調べ始めた。会員の青木峰和さん(62)は、マツタケについても「農薬を散布したら買ってもらえるのか」と疑問視する。

 対策協は人家などから離れ、散布が可能な松林約700ヘクタールのうち、マツタケが採れる7ヘクタールほどに対象を限る方針。事務局の市耕地林務課は、低空飛行できる無人ヘリから対象の松林以外に農薬が飛散する恐れは低く、「散布するのは初夏でマツタケの時期とずれる」と説明。草田茂課長は「田畑に一般的に使う農薬と同じ成分で、水源などは避ける」と安全を強調する。

 一方、農薬が健康に与える影響について、千葉大の本山直樹名誉教授(農業毒性学)は「散布行為と健康被害の因果関係は科学的に証明されていない」とし、国基準を守ればいいとの意見。これに対し、東京都神経科学総合研究所(現東京都医学総合研究所)の元参事研究員、黒田洋一郎さんは「長期間使った後に危険性が分かった例もある。子どもの脳の発達に影響を与える可能性も最近指摘され始めた」と話している。

 松枯れは大気汚染や酸性雨、手入れ不足など、松くい虫以外の要因を挙げる専門家もいる。山林の土壌改良などに取り組む林業関係者らでつくる「四賀林研グループ」の会長で、松本広域森林組合職員の山岸忍さん(62)は「マツタケを守るには、まず山の手入れをするべきだ」と訴えている。


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