設定・主人公「ライダー陣営」
九十九 遊馬
・口癖は「かっとビング」、13歳。魔術師。ライダーのマスター。
・ライダーとは仲が良いが小僧呼ばわりされるのを嫌悪する。
・聖杯に望む願いは「憎しみのない世界」
アストラル
・遊馬のフォロー役、霊体のようなもののため遊馬とサーヴァント以外には見えないうえに触れられない。
・ライダーとよくゲームしたりアニオタだったりする。
ライダー
・真名を征服王「イスカンダル」。聖杯に望む願いは「自身の転生」「世界征服」
・大柄な体格で、豪快な性格。遊馬を小僧呼ばわりする。
設定・「セイバー陣営」
神代 凌牙
・14歳。魔術師。セイバーのマスター。
・無表情無愛想だがセイバーとはできるだけ仲良くしようとしている。
・聖杯に望む願いはないらしい。
Ⅲ
・15歳。凌牙に力を貸す少年。笑顔が耐えない為セイバーとの仲は良好。
セイバー
・真名を騎士王「アルトリア」。聖杯に望む願いは「故国の救済」。
・無感情にも見えるが騎士道を汚す者には容赦せず、通称「腹ペコ王」。
設定・「ランサー陣営」
観月 小鳥
・13歳。魔術師。ランサーのマスター。
・活発で元気な性格でランサーとの仲は良好。
・聖杯に望む願いは「恋の成就」。
ランサー
・真名を「ディルムッド・オディナ」。聖杯に望む願いはないらしい。
・セイバー同様に騎士道を汚す者は容赦しない。頬にあるほくろは他人を魅了させる呪い。
設定・「アーチャー陣営」
ゴーシュ
・年齢不明。魔術師(らしい)。アーチャーのマスター。
・豪快な性格で口癖は「ノリ」。アーチャーには敬語。
・聖杯に望む願いは「更なる戦い」。
アーチャー
・真名を英雄王「ギルガメッシュ」。聖杯に望む願いはない(が「愉悦」とも)。
・唯我独尊的な性格で単独行動を取る。裏ではなにかしているらしい・・・。
設定・「アサシン陣営」
ドロワ
・年齢不明。魔術師でありシスター。アサシンのマスター。
・聡明でクールビューティ。アサシンに聖杯戦争の状況などを調べさせる。
・聖杯に望む願いは「想い人の救済」。
アサシン
・真名を「ハサン・ザッバーハ」。聖杯に望む願いはない。
・多彩な分身を持ち仮面を被った謎の男で諜報活動を得意とする。
設定・「バーサーカー陣営」
天城 カイト
・年齢不明(見た目は15~16)。魔術師。バーサーカーのマスター。
・クールだが弟のことになるとなにかが変わったように話す。
・聖杯に望む願いは「弟の救助」。
天城 ハルト
・病気によりほとんどの性格が変わり果てたカイトの弟。
バーサーカー
・真名を円卓の騎士「サー・ランスロット」。聖杯に望む願いはない。
・常に黒い鎧をまとっている狂戦士。セイバーとなにか因縁があるらしい。
設定・「キャスター陣営」
Ⅳ
・17歳。魔術師。キャスターのマスター。
・残虐非道なやり方でマスターたちを追い詰める。Ⅲとも関係が有るよう。
・聖杯に望む願いは「すべてを地獄に変える」。
キャスター
・真名を「ジル・ド・レェ」。聖杯に望む願いは「ジャンヌダルクの復活」。
・殺人などを行い残虐的な行動を繰り返す。
=========================
プロローグ・「英霊召喚」
「バカにしやがって・・・小鳥の奴・・・・・!!」
今日も魔術師理論バカにされた・・・。1ヶ月考えてやっと書けたのに・・・・。
「うわぁ~~~~~~~!!もーなんなんだよまったくよぉ!!」
『遊馬、落ち着け、郵便が届いているぞ・・・?』
「郵便・・・・?あっ!これは!!」
そう、魔術師理論なんかよりも重大なもの。明日から始まる。
戦いは止められない。
『遊馬、本当にやるのだな?』
「当たり前じゃん!これ以上、バカにされてたまるもんか!」
いいや・・・はじまるのは明日じゃない。
「告げる。汝の身は我が元に、我が命運は汝の剣に!聖杯の呼ぶ辺に従い、この意・・・この理に、従うならば答えよ!」
『これが・・・・・!!』
「!!」
まさか・・・・・これが・・・・・!!
「お前か?我がマスターとやらは!」
「お前が・・・・・・・!俺の・・・・・」
そう、これから始まるのはただの戦いじゃない。
聖杯戦争。聖杯を賭けた戦い。
========================
第1話「運命のハジマリ」
【遊馬side】
「おはよー遊馬!」
「おっす!!今日は遅刻してないぜ!どーだっ!!」
「いつもよりはマシじゃないかな?っていうか、教科書・・・」
「はぁ?・・・・・・・・しまった!魔術学の教科書忘れてた!!」
「やっぱ撤回するわ・・・」
これは聖杯戦争から3日前の話だった。
魔術学も苦手じゃなかったけど人よりできてなかったし、小鳥のほうが魔術もうまいから聖杯戦争なんて出れると思ってなかった。
だけど、その決意は突然に訪れるんだ。
「英霊は魔力の供給が足りなければ消滅してしまい、聖杯戦争も魔力が足りない者は参加できません、
まぁ聖杯戦争の期間はハートランドシティの学校がすべて閉鎖されるからね、言うほどでもないんだけど」
そう。魔力供給が足りなかったら英霊は召喚すら出来ない。俺はその魔力が足りていないのだ。
確実に足りないわけじゃない、練習すれば魔力源はいくらでもある。
「俺も聖杯戦争出れたらいいなぁ・・・・」
誰にも聞こえないように言う。魔力供給を一緒に行ってくれる人物がいれば出たいんだけど・・・。
【小鳥side】
今日も遊馬が愚痴を言ってる。聞こえないように言ってるつもりなんだろうけど私は隣の席だし少し聞こえてしまった。
私は・・・・聖杯戦争に参加するつもり、恋の成就のために、自分のためだけど・・・きっとなんとかなるって思ってる。
魔力源も聖遺物もあるのだからきっとできる。私は・・・・。
恋の成就を願いにしているわけじゃない、その告白をする勇気をもらいたいから。
「ねえ、遊馬?」
「なんだよいきなり話しかけてきて・・・」
「聖杯戦争って私でも出れるかな?」
「はぁ?!そりゃ出れるけどさ、小鳥が!?」
「そこっ!少しうるさい」
「あっ・・・すいません・・・・」
遊馬、私を心配してくれてるのかな?それとも敵だと思ってる?
それでも構わない。
私は遊馬に告白するためにこの戦争に参加する。
【???side】
すべては弟のために・・・・。すべては救出のために・・・・。
「すばらしい!聖杯戦争に参加するのだね?」
「あぁ・・・」
「君の魔力ならきっとすばらしい結果を残せるだろう!頼んだよ、カイト」
「はい・・・・」
なにがすばらしい結果だ・・・・。お前達のせいでハルトは・・・!!
聖杯に望むはただ1つ「弟との生活を取り戻す」ことだけだ。
【遊馬side】
放課後。
学校も閉鎖のために遊べないし、デュエルもできないから家に帰る事にした。
家に帰るとリビングのソファーで明里姉ちゃんがなにか調べごとをしていた。
「姉ちゃん、なにやってんの?」
「遊馬ぁ?あのねー聖杯戦争よ、まだライダーの聖遺物が残ってるんだって、まぁ私達には関係ないわよね」
「そーなんだ」
ライダー・・・・騎乗兵か・・・・。俺には関係なさそうだなぁ・・・どうせ契約するんだったらセイバーとかアーチャーがいいし。
≪次のニュースです。ハートランドシティでまたもや惨殺死体が発見されました。身元は――――――・・・・≫
「またぁ?どうなってんだか・・・」
ココ最近、ハートランドシティでは誘拐殺人というものが多発していた。どれも魔術によって殺害された形式があるし、
高等魔術だからかなりの魔術師が犯人と分かってる。
殺人は増えるし、命がドンドン消えている。それが今の世の中だ。
「こんなの間違ってる」そう言いたいけど言えない自分が悔しい・・・。どうにかして止めたいのに止められない。
「ねえ遊馬?アンタ、魔術理論だか書き上げるって終わったの?」
「ハッ・・・!そうだった!姉ちゃんサンキュー!!」
廊下に出て階段を駆け上がる。自室に戻ると自分の両親の形見である皇の鍵から不思議な生命体・・・アストラルが現れる。
『遊馬、君はなにか思いつめているようだが・・・・なにかあったのか?』
「なんもねーよ!お前はいいよな!魔力いっぱいある・・・し・・・・・」
今、俺の頭の中には魔力供給者の5文字とアストラルがよぎって行った。そうだ、居たんだ、俺に魔力を供給する手助けする人物が!
「アストラル!お願いがあるんだけど!!」
次の日、学校は準備ないし、聖遺物を見に行く事にした。教会にはライダーの聖遺物のみが置いてある。
「これが・・・ライダーの聖遺物・・・」
ほかの聖遺物は俺の敵となるマスターたちの元に送られていっている、つまり実際に残っているのはこの1つだけだった。
「ライダーの聖遺物か・・・誰もマスターがいないのか・・?」
「!!・・・・」
俺が気づかない間に別の誰かがいた。青紫の髪。間違いない。
「シャーク!」
「遊馬・・・・まさかとは思うがお前がライダーのマスターか?」
「そんなんわかんねえだろ!」
「だよな・・・・さすがのお前でも誰のマスターかは明かさないよな」
「2人とも、なにをしに来たのだ?」
「ドロワさん・・・」
「ドロワさんはシスターですよね、またアサシンですか?」
「半分押し付けだが仕方ない、それがシスターの役目だ・・・・」
ドロワさんやシャークも聖杯戦争に参加するみたいだ。楽しみになってきたぜ!!
「ドロワさん、ライダーの聖遺物ってまだ開いてますか?」
「なにっ?」
【???side】
「どうしましたァ?こちらに来てください?」
「いっ・・・イヤだ!助けてエエエエエエエエ!!」
「どの子供も嫌がるなァ・・・」
俺は聖杯戦争に興味はない、だけど聖杯には興味がある。血塗られた聖杯戦争っていうのも悪くないだろ?
そんなファンサービスされた奴らはたまらなく嬉しいだろうな。
「さってと、聖遺物はこれでいいのか・・・」
わざわざ教会から貰ってきたんだ、手間かけさせるな・・・・。
・・・・お前もこれで戻ってくるはずだ。
「待ってろよ・・・・・Ⅲ・・・・」
【遊馬side】
「ライダーの聖遺物を!?」
「まだマスターいないんだろ?だったら俺にちょうだい!!」
「いいが・・・見るからに魔力源がなさそうなお前が・・・大丈夫なのか?」
「心配ねえし!!」
シャークがいる前にほしがるのはちょっとアレだけどそれでもないよりマシだ!!
魔力源ならある!!
「仕方がない・・・分かった、聖遺物は重いからな、明日家に送る」
「分かったぜ!!」
「なるほど・・・ライダーのマスターは遊馬ってわけな」
「あっ・・・・」
「ここでお前のだけ知るのはあまり気分がよくねえからな、教えてやる。俺のサーヴァントは・・・セイバーだ」
「えええええええええええええ!?」
1番ほしかったサーヴァント取ったのはシャークかよぉ・・・それでもいないよりマシだからいっか・・・。
大体どんな奴が召喚されるのか知らないし・・・聖遺物の正体が分かってればいいんだけど・・・・。
「そういえばアーチャーのマスターはゴーシュだったな」
「ゴーシュ!?強敵ばっかりじゃん・・・・」
ドロワもシャークもなんか色々と・・・・大丈夫なのかなぁ・・・・
『この聖杯戦争・・・なにが起きるか分からないぞ・・・・!!』
「あぁ、分かってる。でも協力ありがとうな!!」
『君の頼みだ・・・当然だろう・・・』
俺がアストラルに頼んだ事、それは魔力供給についてだった。
≪私に魔力供給の協力を?≫≪あぁ!俺じゃ足りない、だけどアストラルがいれば!!≫≪・・・・分かった、君の頼みだ、やってみよう≫
明日・・・・小鳥の家から帰ってきてからが勝負だ・・・・!!
俺の聖杯戦争はきっと・・・・!!
そして運命のハジマリは訪れた。
「我がマスターはお前か?!小僧!」
「・・・・・・・えっ!?小僧・・・・?」
「あぁ小僧、お前がマスターなのか?」
「そうだけど・・・・小僧っていうな!!俺は九十九遊馬だ!!」
「遊馬・・・なるほど、我がマスターの名は遊馬というのか、頼んだぞ、我が名はイスカンダル、征服王だ」
【小鳥side】
「あなたは・・・・誰・・・?」
「我が名は・・・・ディルムッド・オディナ、我が主よ、名をなんというのだ?」
「私の名前は・・・・・・・・」
【凌牙side】
「問おう、あなたが私のマスターか?」
「凌牙、あれが・・・・サーヴァント?」
「間違いない・・・騎士王・・・・アーサーペンドラゴン・・・・!!」
【カイトside】
「成功だねえ!カイト!!」
「はぁ・・・はぁ・・・あれがサーヴァント・・・・バーサーカー・・・」
【ドロワside】
「お前が私に使えるサーヴァント・・・」
「ハサンと申します、以後お見知りおきを・・・・」
【ゴーシュside】
「すげえノリだぁ、・・・・この戦い、俺たちの勝利だ!ドロワ!」
「お前が俺を呼んだようだな・・・我がマスターよ」
【遊馬side】
「よろしく・・・・征服王・・・」
「あぁ、遊馬、お前に聖杯とやら授けてやるとするか!!」
俺とライダー・・・イスカンダルが握手を交わす、この大柄な男が俺のサーヴァント・・・・。
大丈夫、きっとコイツとなら聖杯で世界を変えられる。
「頼んだぜ!イスカンダル!!いいや・・・・ライダー!」
===========================
第2話「戦闘開始」
【遊馬side】
「にしてもマスターよ、どこに住むというのだ」
「ライダーは俺の部屋に泊まってもらうぜ、別に姉ちゃんも聖杯戦争って言えば分かるだろうし」
「そうかァ?お前のような小僧が聖杯戦争で戦えるとは思えんが・・・魔力供給も自分では行っていないだろう」
「うっ・・・・いつから知ってた?」
「召喚されてすぐにだ」
ライダーの奴め・・・森から帰ってる途中にまさか気づいていたとは・・・。
現在は俺とアストラルの2人で魔力供給を行ってる、ほかに見える人物はいないんだし心配いらないだろうからな。
家に着くと姉ちゃんとばあちゃんが驚いた様子で俺たちを見ていた。実質、ライダーを霊体にしてもよかったんだけど、
ライダーが言う事聞かなかったら連れて帰ってきた。夜だし住宅街にほとんど人通りもなかったから。
「遊馬・・・その男の人誰?」
「おぉ!我が名は征服王イスカンダル!この小僧のサーヴァントだ」
「らっ・・・ライダー・・・」
「おやまぁ・・・遊馬がマスターになるとはのぉ・・・」
「なんていうか・・・心配すぎる・・・」
とりあえず姉ちゃんは中にいれてくれた。その晩、ライダーが寝ている間に俺がガッと叱られたのは言うまでもない。
【Ⅲside】
「我が名はアルトリア、またの名をアーサーペンドラゴンという」
僕の見込んだ少年は本物の魔術師だった。
アルトリア・・・アーサーペンドラゴンを真名とするセイバーを召喚するなんて思ってもみなかった。セイバーはランクが高いゆえに、
かなりの魔力を消費する。だが召喚だけで通常の魔術師ならば疲労を見せるにも関わらず、彼はまったく疲れた様子を見せなかった。
「マスターはどちらですか?」
「こっちの少年がセイバー・・・アルトリア殿のマスターです」
「・・・・セイバーか・・・・・・・」
「?どうされましたか?」
「いいや、俺の名は凌牙。名前でもなんでも好きに呼べ」
「分かりました、マスター。そちらの少女は?」
どうやらセイバーは僕を女の子と勘違いしているようだった。まずい、誤解は早めにとかなければ・・・。
「僕はⅢ、女の子って言われるけど男の子なんだ、よろしくね」
「なんと・・・申し訳ありません、Ⅲ」
「これからセイバーには、基本的にⅢと行動を取ってもらう、囮作戦だ」
「囮・・・ですか・・・?」
「あぁ、マスターは確かに俺だが、それに気付いているのは2名のみ、それ以外のサーヴァントとマスターを出し抜くためのものだ」
これは凌牙と2人で念入りに立てた作戦だ。うまくいくかなんて分からないけど、できるだけうまく行く事を信じている。
もしもこの作戦で僕が殺されたとしても僕は構わない。それが聖杯戦争だから。
「明日からが本番だ、明日、最初に見つけたサーヴァントを始末してほしい」
「・・・・分かりました、マスター」
「それじゃあセイバーの部屋に案内するね!」
今いる城も囮の城。アインツベルン城というらしいけど、僕たちの拠点の1つにしかならない。ここがいつ潰れたとしてもまた別の拠点がある。
【小鳥side】
私が召喚したのはランサーだった。凛とした顔立ちで2本の槍を持つ男性だった。
「マスターは何故聖杯戦争に?」
「恋の成就のための勇気がほしいの」
「・・・・勇気・・・ですか・・・」
「なんかちょっとくだらない理由だよね、自分勝手っていうか・・・ごめんね」
「いえ、私も生前には恋に落ちたことがあります。人間というものがそういう定めならば私はマスターのために死力を尽くして戦いましょうぞ」
ランサー・・・・ディルムッドはその願いを認めてくれた。前に伝説を読んだ事がある、ディルムッドも恋に落ちたことがあり、
大変な事があった・・・と。ほくろの正体も呪いだとか。
夜の道を歩いていく。お母さんやお父さんには驚かれたけど、「それがあなたの意志ならば」という一言で聖杯戦争の参加を認められた。お母さんは泣いていたけど私は負けないよ、大丈夫。絶対に負けないから。
「ランサー、まずは遊馬のサーヴァントを追いましょう」
「遊馬・・・それはどのサーヴァントのマスターで・・・」
「それが・・・・・分かってないの、でもね、聖遺物はライダーのもののみが残っていたの、ライダーを追えばきっと・・・」
遊馬のサーヴァントはおそらくライダー。
あの期間まで迷っていればライダーの確率はほぼ100%に近い。3日前の状況ではライダーの聖遺物しか残っていなかったし。
「アンタが・・・・俺の願いを叶えるサーヴァントなのか・・・?」
「おぉ~・・・我がマスターよ、あなたは何故私を呼んだのですか?」
「俺はこの世界を地獄に変えるだけだ、聖杯にそれを望む、そしてキャスターを選んだ理由はお前の真名を分かっていたからだ」
「真名を・・・ならば分かるでしょう!我が名はジル・ド・レェ!!」
あぁ知っている。俺はお前の生前と真名を知っているからこそキャスターを選んだ。コイツとならば世界を地獄にだってできる。面白くなってきたじゃねえか・・・。
「俺の名前はⅣ、お前のマスターだ」
「おぉ~・・・なんとすばらしい名なのでしょうか・・・!このジル・ド・レェ、あなたに使えると約束しましょうぞォ!!」
俺の目的は地獄を作りⅢをこちらへ呼び戻す事、それさえ出来ればなんだっていい。
【遊馬side】
「グゴゴゴゴォォォォォォォ・・・・・・・・」
朝。今の時間は10時20分ごろ。俺は上のハンモックで寝てるけどライダーは俺のベッドで寝ていた。
起きた理由はライダーのあまりにもうるさいいびきだ。
こんな理由で令呪を使うわけにもいかないし、仕方ないからこの時間でもおきることにした。
≪次のニュースです。先日、またも変死体がハートランドシティの危険地エリアから3名ほど発見され、いずれも10歳程度の少年だったそうです。≫
≪これでもう何人目ですかね・・・・≫
≪詳しい事は分かっていません。セキュリティの捜索も―――――・・・・≫
「おう遊馬ァ!起きていたのか!!」
「ライダー!・・・・っていびきのせいだろ・・・」
「んあ?いびきがうるさいか、それはすまなかったなぁ・・・そういえば聞きたかったのだが・・・」
「なんだ?」
「そこに座ってる幽霊らしき奴はなんなんだ?昨日から聞いたかった」
「えっ・・・・えええええええ!?お前、アストラルが見えてるのかよ!!」
『なにっ!?私が見える人物がいるというのか・・・・!?』
「おー喋ったな!名前は知っているだろう、お前の名はなんだ!」
『・・・・アストラルだ・・・・』
ライダーはアストラルの顔を見ると大声でそう言った。姉ちゃんやばあちゃんは当然、小鳥たちにも見えないのにサーヴァントには見えるようだった。
でもサーヴァントだけだ、命令されなかったらサーヴァントも攻撃してこない、だからアストラルが攻撃されることもないと思っていた。今日はとりあえず出かける事にした。いや・・・出かけるじゃない。
狙いはアインツベルン城という城だった。そこはアインツベルンという魔術師一族が残した廃城であり、魔術師の住処にはちょうど良すぎる場所だった。そこならサーヴァントの1人や2人いると思ったんだ。
【Ⅲside】
「・・・・・・・凌牙、サーヴァントとマスターの気配がする」
「人数は?」
「全員合わせて4人といったところかな?」
「セイバー!」
「どうしたのですか?マスター、Ⅲ」
何者かが来る。早速この城を落としにきたと言う意味だ。まさか4人もくるなんて思わなかった。つまり、2組の陣営が来るということ。
どちらもセイバー狙いならばそれはこちらにとってあまりいいものではない。
「どうするの?凌牙」
「・・・・当然、戦闘。セイバーは2つの陣営の相手を、俺とⅢでマスターを潰す」
「分かりました、それでは・・・・!!」
その森は昼間なのに薄暗く、まるで別の世界を歩いているようだった。
本当にこんなところに城があるのだろうか?そんなことはわからないけど、不気味な場所だ。
「ライダー・・・本当に大丈夫なんだろうなぁ・・・」
「任せろ!いざという時は我がいるからな!」
『だがここでもしも出会ったとすれば視界が悪すぎる・・・アインツベルン城での戦いがもっとも最適なのだが・・・』
ライダーのうしろに隠れる俺の隣にいるアストラルがそう呟く。
そんなことをしている間にライダーの動きが止まった。俺も少しだけ落ち着いて目を閉じると大きな魔力を目の前と斜め右方向から感じた。
あまり出会いたくなかった敵たちと出会ってしまったようだ。
「セイバーとランサー・・・そして・・・小鳥!」
「遊馬・・・・!?」
「やはりライダーのマスターはマスターの言うとおりだったか・・・・」
「ライダー、そしてランサーの陣営か、ここから先には通させない!通るというならば武力で対抗させてもらう!」
「なるほど、セイバー!お前のマスターはあの城にいるのだな」
どうやらセイバーの言っている事は本当そうだ。まさかシャークがアインツベルン城にいるなんて・・・意外だったけど頭のよさそうなシャークだったら考えそうだ。
ライダーはズカズカと前へ進むとセイバーとランサーの目の前で立ち止まる。
「我が名は征服王イスカンダル!セイバーとランサーだったな、いいだろう!城に行きたいという小僧の頼みだ、ここで対決しようではないか!」
「ふっ・・・面白い。・・・マスター、木の陰に隠れていてください」
「あっ・・・分かったわ!」
「なるほど、決着でもなんでもつけるというわけか、いいだろう!」
セイバー、ランサー、ライダー。いずれもレベルの高いサーヴァントたちの戦い。
セイバーはおそらくアーサーペンドラゴン、ランサーもディルムッドオディナという英雄だろう。どちらも強力な騎士。油断はできなかった。
「ライダー、頼んだぜ!!」
「任せろ、マスターよ!!」
この勝負。絶対に勝ってくれよ、ライダー!!
【Ⅲside】
「Ⅲ、準備はできたか?」
「あぁ・・・分かってる、狙いはどっちのマスター?」
「・・・・狙うのはランサーのマスターだ、いいか、ライダーのマスターは後日始末する」
「分かったよ」
第3話「愉悦の王」へ続く