オンラインゲーム化した最新作が酷評の嵐! ドラクエ新作の本当の実力は?
2012/8/31 10:108月2日、『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族オンライン』が発売された。
ところが、この国民的ロールプレイングゲームの最新作、amazonの700件以上のレビューのうち半数近くが最低評価の星ひとつとなるなど(8月22日時点)、まさに酷評の嵐。「過去最悪のドラクエ」との声も少なくない。
ゲームアナリストの平林久和氏に聞いてみた。
「まず、今回のドラクエXの初週売り上げは約40万本。前作『ドラクエIX』、前々作『ドラクエVIII』がいずれも初週で200万本以上をらくらく突破していたことと比較すると、寂しい数字です。Xは敷居の高いMMO(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン)RPGなので、(メーカーの)スクウェア・エニックスとしては想定内なのでしょうが、初週で前作の5分の1程度しか売れなかったというのは事実です」
それにしても、オンラインゲームと承知の上で購入した人から叩かれまくっているのはなぜ?
「発売初日からサーバーがダウンしました。また、唐突なサーバーメンテナンスがたびたび入るなど、やりたいときにプレイできないといったことで不満も出ています」(平林氏)
オンライン化への準備が不十分だったということか。
ほかにも、1回の戦闘で得られる経験値やゴールドが従来よりも極端に少なく、レベルアップや装備を強化するのに途方もなく時間がかかってしまうことへの不満もある。
「それはMMO RPG初心者のドラクエファンが、MMO RPGの常識を理解しないままプレイして不満に感じているケース。モンスターとのバトル中に別プレイヤーに割り込まれ、経験値を奪われるのはナンセンスだとの批判もありますが、MMO RPGとしては割と当たり前の仕様。つまり、的外れの批判ともいえます。しかし、“いつものドラクエ”を期待していたユーザーにすればフラストレーションがたまってしまうのでしょう。親切なチュートリアルや用語解説を入れるなど、せっかくMMO RPG初心者にも遊びやすいよう注力しているのだからこそ、メーカー側がもっと『今までのドラクエとは別物』と啓蒙すべきだったのかもしれません」(平林氏)
とはいえ、こんな状況でも「ビジネス的には成功するだろう」と語るのは、ゲームジャーナリストの成澤大輔氏だ。
「ドラクエXはソフト代(通常版、定価6980円)以外にも、30日間で1000円程度の利用料金がかかります。最初の20日間が無料で、以降は課金制になるので、課金が必要になる段階で多くのユーザーは離れていくでしょう。ですが、それも想定内。購入者全体の2割のユーザーが継続的に課金してくれれば、ビジネスとしては十分成立するからです。同じMMO RPGの『ファイナルファンタジーXI』(2002年発売)は、同時プレイしていた人数が最盛期で20万人ほどでしたが、多大な収益を上げています」
数年から10年単位という長期スパンで収益を上げていくビジネスモデルというわけだ。
ただ、それにしても気になるのは、ドラクエシリーズの“生みの親”である堀井雄二氏が、X発表当時にした「Xはひとりでも楽しめます」という発言。
敵が強すぎるなどの理由で、他プレイヤーと協力せずに従来のドラクエのようにシングルプレイでストーリーを進めていくのは、現実問題として不可能に近い。
「開発当初の堀井さんの思惑とは多少違う方向で完成に至ってしまったのでは」(成澤氏)
堀井氏の胸の内を知る由はないが、果たして、ドラクエXが低評価を覆す日は来るのだろうか。
(取材・文/昌谷大介[A4 studio])
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