実際に日本軍が性奴隷を強制的に連行した犯罪記録は、第2次大戦で反人倫戦争犯罪を犯した日本人を処罰するため、1946年に開催された東京国際戦犯裁判にも提出されていた。当時オランダは「日本がインドネシアを占領した際、海軍慰安所を設置し、日本の特別警察隊は街頭で女性を誘拐して強制的に慰安所に連れ込んだ」とする日本軍の証言資料を提出した。裁判に参加した中国も「日本軍は中国の桂林で女工を募集するとして婦女子をだまし、軍で醜悪な行為を強要した」と暴露した。
1992年には日本の中央大学の吉見義明教授が『軍慰安所従業婦等募集に関する件』(1938年、陸軍省作成)を公表した。これには日本軍が慰安婦を募集する際、誘拐と同じような方法を取っていたとの内容が記載されている。さらにこれを裏付ける日本人の証言も相次いでいる。1942年から3年間、山口県労務報国会動員部長を務めた吉田清次は「朝鮮人女性を慰安婦として動員した」「1943年5月17日、下関を出発して済州島に到着し、女性狩りを行った」と証言している。吉田は「慰安婦に関する件は全て軍事機密に分類されていた」とも述べた。
世界が一つになろうとしている今、日本による性奴隷強制連行犯罪は、すでに現代史の最も醜悪な歴史的事実として公認されている。米下院や欧州議会は2007年、「日本は若い女性を日本軍の性的奴隷として利用するため、公式的に徴用した」と糾弾した。オランダ議会は「日本は強制的な性売買に日本軍が関与したことについて、全面的な責任を負うべきだ」とする決議を採択している。
国連では性奴隷犯罪に対する日本の責任を追及する報告書が、すでに10回以上提出されている。日本による性奴隷犯罪を取り扱った国連人権理事会女性暴力特別報告官報告書は1996年と2003年に提出され、人権小委員会のマクドゥーガル戦時性奴隷制特別報告者も、1998年に日本の謝罪を求める報告書を提出した。国連女性差別撤廃委員会は1994年以降4回にわたり日本に性奴隷の責任を追及しており、拷問防止委員会は2007年、市民的・政治的権利委員会は08年に、日本に対して性奴隷の責任を認めることと謝罪を要求している。
野田首相は日本による犯罪を証言、記録、追及、審判してきた世界の動きに対抗する自信があるのであれば、今年の国連総会に出席し「第2次大戦当時、日本軍には性奴隷などいなかった」と演説してほしい。それによって拍手が起こるのか、あるいは非難の声が出るのか実際に体験し、その結果を日本国民に率直に報告すべきだ。