[民主主義再考(上)]政党はどこへ行くのか

2012年9月1日 09時12分

 政府や政党が有権者から信用されなくなった。そのことを示す世論調査結果を二つ紹介したい。

 内閣府が1月に実施した「社会意識に関する世論調査」によると、国の政策に国民の考えや意見がどの程度反映されていると思うかを聞いたところ、「反映されている」と答えた人の割合が15・5%だったのに対し、「反映されていない」との回答は81・9%に達した。

 民主主義といえば、議会制民主主義、代表制民主主義のことである。この数字を見る限り、日本の民主主義は重度の機能不全に陥っていることになる。

 共同通信社が7月に実施した全国電話世論調査によると、政党支持率は自民党17・8%に対し、政権与党の民主党は15・4%。両党の支持率を足しても33・2%にしかならない。「支持政党なし」の44・4%に、はるかに及ばないのである。政党の衰退と政治の劣化は深刻だ。

 民主党はなぜ、政権運営に失敗し、有権者の期待を裏切ったのか。

 「官僚主導から政治主導へ」の理念も、普天間飛行場の移設問題も、つまずいた理由ははっきりしている。自民党政権時代に形成された政官業・米の「利益共同体」が政策転換をしぶり、水面下で改革を妨害したからだ。

 政策が実現しなかったから不信感を招いたのではない。国民を後ろ盾に政策実現に取り組む道が残されていたにもかかわらず、「利益共同体」の軍門に下って、掲げた政策をあっさり放棄したからだ。

 自民党政権末期の3人の首相がそうであったように、民主党政権も「ねじれ国会」に振り回され続けている。

 「ねじれ国会」の特徴は、与野党の足の引っ張り合いが激しくなることだ。次の総選挙での政権獲得をねらって野党は、政権を追い詰めることを目標に掲げる。多数を占める参議院で問責決議を連発し、国政は停滞する。

 実際、自民党は、自公を除く他の野党が提出した首相問責決議案に賛成した。消費増税をめぐる民自公の姿勢を批判した文言であるにもかかわらず、野田政権を追い詰めるため賛成に回った。自民党の判断は、理解不能としかいいようがない。

 「ねじれ国会」の下で調整・妥協という「政治の技芸」が機能せず、対立状態が続けば、政党政治は間違いなく衰退するだろう。それを避けるため民自公の大連立を唱える人たちもいるが、それもまた、政党政治に対する不信感を高めるだけである。

 では、どうするか。次の総選挙を、その問いに正面から応える機会にしなければならない。

 国民は今、政党の間で繰り返される政争や政局に深い失望感を抱いている。こと基地問題に関して言えば、沖縄では、代表制民主主義が全く機能していない。

 この状況は危険だ。

 どのようにすれば政党政治の機能不全を治癒することができるのか。まずは政治家が国民の失望を受け止め、危機意識を共有することだ。

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