WBC世界スーパーフェザー級王者・粟生隆寛(28=帝拳)が、来年に見込まれる同級王座統一戦に向けて下半身マッチョ化に取り組んでいる。WBA同級王者の“KOダイナマイト”内山高志(32=ワタナベ)はギリシャ彫刻のように鍛え上げた上半身を誇るが、粟生は対照的に下半身の“増強”に専念。その狙いとは――。
「極端な表現かもしれませんが『打ち終わり』をなくすことがテーマです」と話すのは、帝拳ジムのトレーニングコーチを務める中村正彦氏(38)だ。
粟生とWBC世界バンタム級王者・山中慎介(29)、同フライ級王者の五十嵐俊幸(28)の世界チャンプ3人にWBAライト級10位の三浦隆司(28、いずれも帝拳)を加えた4人は、31日まで千葉・成田市内でキャンプを張っている。その中身は早朝に約12キロのランニング、夕方にも約9キロを走った後に各種のサーキットトレーニングで徹底的に下半身を強化。そのおかげで「うち(帝拳)の選手はお尻と太ももの裏が大きいのが特徴なんですよ」と中村コーチは胸を張った。
粟生が下半身のマッチョ化に専念しているわけは、内山との王座統一戦を見据えてのことだ。10月27日に行われるランク4位ガマリエル・ディアス(31=メキシコ)とのV4戦(東京国際フォーラム)をクリアすれば、スーパーマッチ実現の可能性が高い。粟生も「(V4戦に)KOで勝ってインパクトを与える試合をすれば、周りの認知度も上がって、内山戦の注目も高まる。統一戦は(ミニマム級の)井岡VS八重樫を超える盛り上がりにしたい」と早くも次々戦を意識する。
しかも、この“下半身マッチョ化”はKOパンチャーとして名高い内山対策の一環でもある。粟生は世界戦7戦でKO勝ちは1回だけ。パンチ力では明らかに内山に分がありそうだが、中村コーチは「そんなことはない」と言い切る。
「例えばツルツルに滑る所でパンチを打つのに、腕の力と安定した下半身のどちらが重要か。というと、言うまでもないですよね」(中村コーチ)
世界クラスのボクサーは相手を倒すパンチを持っていて当然。むしろ「打ち終わり」で体勢を崩した瞬間に、カウンターを食らって倒されるほうが怖い。そこで、徹底した下半身強化でこのリスクを減らす、いや排除してしまう。KOダイナマイト内山の必殺ブローを食らわないよう、一瞬のスキもない下半身を作るというのが狙いだ。
早々とスーパーマッチに向けて動き出した粟生。まずはV4戦のクリアが肝心だ。
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