韓国最高裁、「崔三更は統合でも異端」との主張支持
金チャンヨン牧師の名誉毀損告訴「無罪確定」
2012年09月01日22時13分
大韓イエス教長老会(統合)の異端似非対策委員会で委員長を務める崔三更氏(光と塩教会牧師)について「統合側の総会で三神論異端の決定が取り消されたことがない」と主張し、崔氏から名誉毀損容疑で告訴されていた同教団牧師の金チャンヨン氏が8月30日、韓国の最高裁判所で無罪確定判決を受けた。最高裁第2法廷は同日、金氏を無罪とした2審判決を不服とする崔氏の訴えを棄却した。1日付の韓国クリスチャントゥデイ紙が報じた。
特に今回の裁判の争点は、「崔三更牧師の三神論異端思想の所属教団(大韓イエス教長老会統合)での決定」について、両氏の相反した主張だった。金氏は「崔三更牧師は統合で異端として決議され、これが適法な手続きによって破棄されたことがない」と主張する一方、崔氏は、「本人は統合で異端決議されていないので、解除云々すること自体が虚偽であり名誉毀損」とし、金氏を告訴した。これに対し、最高裁は金氏の主張を認めた。
崔氏はすでに、韓国教会の代表的な連合組織である韓国基督教総連合会と、韓国最大の教団、大韓イエス教長老会(合同)で三神論・月経胎孕論の異端として決議されている。それにもかかわらず、崔氏は「所属教団で既に解決された問題」と主張し続け、統合の異端似非対策委員会の委員長などを務めてきたが、今回の判決により、「異端が異端を取り扱うのか」という批判を避けることができなくなった。教団内で彼を擁護する一部の勢力も、今回の判決で苦しい立場に追い込まれる形となった。
今回の判決を受けて金氏は、「同じ教団の先輩牧師として、教団の秩序を守るために崔三更牧師の正しくない言動に対して訓戒しただけなのに、これにより、崔牧師から告訴されて以来数年の間、言葉にできないほどの精神的苦痛を味わった」とし、「崔三更牧師は、今回の判決を契機に公同の教会を前に完全に悔い改めて、これ以上キリスト教界を乱してはならない」との立場を明らかにした。
教団関係者は、「崔三更牧師は三神論とマリア月経胎孕論を主張した後、今まで一度も公に悔い改めたことがないのに、所属教団の統合側総会で既にすべて解決された問題だと主張し、異端認定を常に行って宗教界に混乱を招いてきた」とし、「今回の判決を契機に崔三更牧師は、謹慎、自戒する必要があり、総会でも彼をむやみに庇護することがあってならない」と強調した。
崔氏は「三つの霊の神」という表現を使用するなど、三神論異端思想を継続して主張し、大韓イエス教長老会(統合)の第87回総会で異端として決議された。当時の研究報告書では、崔氏が統合側総会の神学とは異なる奇跡終了論を主張したことに対しても、「非聖書的であり、ウェストミンスター信仰告白と我々の教団である長老派教会の信仰告白を否定するもの」との指摘があった。
▲大韓イエス教長老会(統合)の第87回定期総会で可決された崔氏に対する調査報告書
<以下、写真の日本語訳>
6. 結論
ア) 三位一体の神は、本質的に霊であられる。
霊はペルソナ(位格)ではないサブスタンシア(実体)を表す言葉だ。
三位一体論でペルソナを霊に表現することは間違いであり、神論で「神は霊である」というときはいつも霊は、神の属性、すなわち本質を示すものである。もしくは、霊という単語を一つの神の中で人格的な個体を表現する意味で使用することもあるが、「三位一体の神を三つの霊の神」と表現するのは三神論であると指摘することができる。
したがって、「御父なる神も一つの人格であるし一つの霊であるし、御子の神も一つの人格でありながら一つの霊であり、聖霊なる神も一つの人格で一つの霊である。それゆえ、神は三つの霊の神だ」という主張は、結局、神は三つの神となって三神論の根拠となり、すべてのキリスト教会が信じ告白するアタナシオス信条に矛盾する。
イ)「御父の霊、御子の霊、聖霊がそれぞれ一つであるということは3つに属する部分だ」という主張は、神を三等分して御父、御子、聖霊をそれぞれ1/3に分離させることで聖三位が一つの神的な本質の中に互いに区別され、分けられたり、混ぜられたりすることではなく、互いに従属されることなく、完全である個別的実在を損傷させ、三位がひとつになるときだけ完全な神になることができるという主張によって、完全である三位神の存在を否定する結果になる。
ウ)「霊」が神の本質、すなわち御父、御子、聖霊が一つの霊であるということを意味すると認めながらも、「旧約聖書でも新約聖書でも、父なる神も一つの霊であり聖霊も一つの霊なのにどうやってこのふたつがひとつになるのか」という主張は、神の霊と聖霊は、それぞれ異なる霊であるという意味で御父の霊と聖霊が一つになることを否定し、御父の霊と聖霊がそれぞれ別の霊と主張することで理神論、あるいは三神論の誤謬に陥っている。
◇
この統合側総会では、崔氏の所属するソウル東中会を通して適切な措置をとるよう決議した。しかし、ソウル東中会は崔氏にどのような指導をして、どのような変化があったかについて説明や資料も一切なく、2年後の第89回総会に「崔三更牧師が提出した信仰告白書と三位一体と聖霊論に問題がなかったことを確認した事実をそのまま受け入れてほしい」という請願書を提出した。
崔氏はその後、自らの主張に対して公式解明や謝罪を一切せずに異端認定を続けてきたが、2009年 、金氏が崔氏に対して正式に異議を申し立てたため、両氏の間で紛争が生じた。
金氏は、第94回総会で崔氏がそのまま委員になったことについて、総会役員たちに宛てた陳情書で「総会の異端関連決議を解除するためには、中会が再調査の申し立てをし、異端似非対策委員会が研究して問題がないと判断されたとき、異端似非対策委員会が総会に解約の申立てをし、総会が終了決議をすることになっている。我々の総会は、崔三更牧師の三神論思想について解除決定をした事実はない。異端思想をもった人が他の人を異端として認定するなら、誰がその決定を認めて従えるだろうか」と反発した。
実際に大韓イエス教長老会(統合)異端似非対策委員会の運営指針によると、異端似非に対する再審を要求するためには、▲当該機関の代表や当事者の名義による再審要請の公文書▲同教団の決定事項の各項目で指摘されたすべての論旨の解明や、変化した立場を具体的に明示した再審要求の事由書▲上記事由書で変化した立場を客観的に証明できる公式文書が必要だ。また、▲資料を完備したかどうかを検討した後、必要な調査と研究を経て研究報告書を作成し、全体会議で撤回するかどうか決定▲異端カルト再審後に撤回が総会で決議された後、その者は、同教団指定のマスコミを通して解明書を公表するなどの手続きを経なければならない。
しかし崔氏の場合には、要件を満たしていたとしても上記のような手続きを経ていないことが裁判の過程で確認された。証人として出廷した金ハンアン牧師(第88回総会異端似非対策委員会書記、第89回異端似非対策委員会委員長)も「『崔三更牧師の神観は、三神論と聖霊論に異端性がある』という第87回総会の決議後、総会異端似非対策委員会は、公式に終了請願や再調査をして報告した事実はない」とし、李ジョンファン牧師(第89回総会異端似非対策委員会書記)も「異端の問題で教団内部に分裂と反目が生じることを懸念したため、ソウル東中会が提出した請願書をそのまま総会に報告しただけで、総会の異端似非対策委員会で崔三更の異端解除のための研究はされたことがない」と証言した。
▲大韓イエス教長老会(統合)異端似非対策委員会の運営指針
<以下、写真の日本語訳>
異端似非対策委員会運営指針
2.異端似非再審のガイドライン
1)研究報告書が公布されて関係者の公式再審要請があった場合は、会議の議論を経て、正式に再審のために調査と研究をするかどうかを決定する。
2)総会の異端似非決定に対して再審を要求するためには、次の要件を満たす必要がある。
(1)当該機関の代表やその当事者による再審要求の公文書
(2)本教団の決定事項で抗議や指摘をされたすべての論旨の解明や、変化した立場を具体的に明示した再審要求の事由書
(3)上記事由書の変化の立場を客観的に証明できる公式文書
3)総会異端似非擁護言論機関(出版社)の決定に対して再審を要求するには、次の条件を備えなければならない。
(1)出版社の公式再審要請の公文書
(2)以下の事項が記載された編集責任者による解明書
①過去に異端擁護の記事を掲載したという事実を認め
②再審要請の日を基準にして、過去3年間の異端擁護記事掲載の事実がないことを明示(報道機関の名称変更時を含む)
③今後異端擁護記事を掲載しないように注意することを明示
(4)再審後でも撤回されなかった場合、3年後、再び再審請求することができる。
4)再審に関する調査と研究の手順
(1)異端似非再審要求の場合、資料を完備しているかどうかを検討した後、必要な調査と研究を経て研究報告書を作成し、全体会議で撤回するかどうかを決定する。
(2)異端似非擁護言論への撤回の場合、撤回要求日を基準にして過去3年間に異端擁護記事を掲載した事実があるかどうかを調査して報告書を作成し、全体会議で決定する。
(3)異端似非の再審後撤回が総会で決議された後、その者は、本教団指定のマスコミを通して解明書を公表することで撤回が最終完結される。
◇
金氏はこの他、▲第94回(2009年)総会で教会連合新聞が異端擁護言論として非難されたのは、崔氏が規定された手続きに違反してこれを追加した後、総会に報告したため▲当時総会で崔氏は、異端似非対策委員会の任期初年度委員なので役員になれないにもかかわらず書記になった▲崔氏が三神論者ではないということを解明するために、韓国基督教総連合会の加盟教団の総務18人に食事接待をし、20万ウォンが入った封筒を配布するという方法で金品供与によるロビー活動をしたという要旨の主張をした。
2審の判決で裁判所は、第94回総会と関連して▲被害者は公認関係歴代総会決議事項9項によると、委員会の役員になることができなかったにもかかわらず、異端似非対策委員会の書記に選任されて活動した点▲教会連合新聞との関連で第94回総会の異端似非対策委員会報告には手続き上の瑕疵があった点などを挙げ、「被告人が指摘した事実は全体的な趣旨に照らして見たときに重要な部分が客観的事実に合致する」と述べた。これについては、統合側総会監査でもその誤りが指摘されている。
金品供与によるロビー活動についても、「被害者が、自分の主張する三神論思想について説明しながら韓国基督教総連合会の加盟教団の総務18人に食事を提供し、交通費20万ウォンを支給した事実とその内容が2010年8月1日の教会連合新聞に報道された事実が認められるので、被告人が虚偽の事実を指摘したと見ることができない」とした。
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