Updated: Tokyo  2012/09/03 08:58  |  New York  2012/09/02 19:58  |  London  2012/09/03 00:58
 

中国:年間成長目標下回る可能性高まる-経済悪化の兆候増す

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  9月3日(ブルームバーグ):中国経済はメーカーや銀行などさまざまな分野で悪化の兆候が強まっており、温家宝首相の2003年の就任以来初めて年間の成長目標を下回る公算が大きくなっている。

1日に発表された8月の中国製造業購買担当者指数(PMI)は予想外に50を割り込み、受注減少で同国の製造業活動が9カ月ぶりに縮小したことを示した。これに先立ち、中国の主要輸出港の天然ゴム在庫が過去最大近くに達したほか、5大銀行で返済期限を過ぎた融資が1-6月(上期)に27%増加するなど景気鈍化の兆候が見られていた。

中国は1998年のアジア金融危機以降、指導部の年間成長目標を毎年達成してきた。今年の目標である7.5%成長を達成できなければ、10年に1回の指導部交代に複雑な影響を与える可能性がある。温家宝首相ら現指導部は今年、不動産市場ブームの抑制と不良債権急増の回避を図り、景気刺激策を控えている。

オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の中国担当チーフエコノミスト、劉利剛氏(香港在勤)は、「追加の政策対応が行われなければ、国内総生産(GDP)伸び率は目標を下回り、現在の指導部は次の指導部にハードランディングする経済を引き継ぐ公算が大きい」と分析。中国人民銀行(中央銀行)は「経済の再活性化に向け、銀行の預金準備率を一段と積極的に引き下げる政策に戻る」べきであり、「近いうちに引き下げれば、10-12月(第4四半期)は順調な成長になり得る」と指摘した。

劉氏は成長率が7%を下回った場合、財政難を招く恐れがあり、地方政府が資金を使い果たせば財政危機もあり得ると説明。そうなればインフラ建設は止まり、その悪影響が重工業、最終的には銀行システムに波及しようと予想した。劉氏は世界銀行と香港金融管理局(HKMA、中銀に相当)勤務の経験がある。

劉氏はPMI発表の後、中国の年間成長見通しを8.2%から7.8%に引き下げた。8月のPMIは49.2と、ブルームバーグが調査したアナリスト25人中24人の予想値を下回った。同指数は50が製造業活動の拡大・縮小の境目を示す。

原題:China Economy’s Deterioration Raises Risk of Wen MissingTarget(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:北京 Nerys Avery navery2@bloomberg.net;北京 Kevin Hamlin khamlin@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net

更新日時: 2012/09/03 07:24 JST

 
 
 
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