第3回 ディスプレイのスペックは何が違う?――Android 27機種を比較

左からXperia SX(3.7インチ)、REGZA Phone(4.3インチ)、AQUOS PHONE ZETA(4.7インチ)、Optimus Vu(5インチ) (ITmedia Mobile)

 iPhoneやAndroid端末などのスマートフォンが登場した当初は3〜4インチほどのディスプレイを搭載したモデルが大半だったが、この夏モデルでは、4インチ半ば〜5インチの大型ディスプレイを搭載した機種が増えている。解像度も、1年以上前はハイスペックケータイと同様のフルワイドVGA(480×854ピクセル)の機種が多かったが、昨年冬からHD(720×1280ピクセル)サイズの機種も増えており、QHD(540×960ピクセル)の解像度を持つミドルクラスの機種も多い。第3回では夏モデルのディスプレイスペックをまとめた。

●4インチ台後半やHDサイズのディスプレイが増加

 まずは画面サイズから見ていこう。この夏モデルで最も大きなディスプレイを備えるのは、5インチの「ELUGA power P-07D」と「Optimus Vu L-06D」だ。ELUGA powerはHDサイズなのでアスペクト比は16:9だが、XGA(768×1024ピクセル)の解像度を持つOptimus Vuのアスペクト比は4.3で、より正方形に近い形状となっている。続いて4.8インチの「GALAXY S III SC-06D」、4.7インチの「AQUOS PHONE Xx 106SH」「AQUOS PHONE ZETA SH-09D」も大きい。4.6インチの機種は5台もある。ディスプレイの大型化に伴い、ボディの幅も大きくなり、夏モデルでは65ミリ以上の幅を実現している機種も増えている。一方、ドコモは3インチ台の機種も他社より多くラインアップしている。「ARROWS Me F-11D」「F-09D ANTEPRIMA」「Xperia SX SO-05D」は3.7インチで、「AQUOS PHONE st SH-07D」の3.4インチは夏モデル最小だ。ちなみにauでは3.7インチの「AQUOS PHONE SL IS15SH」、ソフトバンクでは3.7インチの「PANTONE 5 107SH」が唯一の3インチ台だ。

 解像度はOptimus Vuがこの中では唯一XGA(768×1024ピクセル)だが、コンセプトが近く、5.3インチディスプレイを備える「GALAXY Note SC-05D」のワイドXGA(1280×800ピクセル)には劣る。夏モデルで特筆すべきは、720×1280ピクセルのHDサイズを実現しているモデルが11機種もあること。前シーズンにレビューした2011年度冬モデルでは36機種中10機種の約27.7%がHDディスプレイを搭載していたが、今回の夏モデルでは27機種中11機種で約40.7%に増えている。解像度が上がるほど、文字の視認性が増して写真や動画もより美しく表示できるが、ピクセルのサイズが小さくなり、液晶の場合バックライトの光が透過しにくくなるため、輝度を上げる必要がある。高解像度の液晶は消費電力の点からは不利になるが、実際はどの程度影響するのか。この部分は別途バッテリーのベンチマークテストで検証したい。

※初出時に、Optimus Vuを解像度で1位としていましたが、正しくはHDディスプレイ搭載機が1位でした。お詫びして訂正いたします(9/1 15:12)

●有機ELは全機種がPenTile配列

 ディスプレイの種類はTFT液晶が多いが、GALAXY S III、「REGZA Phone T-02D」「HTC J ISW13HT」「URBANO PROGRESSO」「ARROWS A 101F」「GS03」は有機ELを搭載している。有機ELは高コントラスト、広視野角、応答速度が速いなどのメリットがある。ただし今夏モデルが搭載している有機ELは、PenTile配列を採用している。実際に、上記6機種のディスプレイをマイクロスコープで拡大して見たところ、PenTile配列であることが確認できた。1ピクセルはRGB(赤緑青)のサブピクセルで構成されているが、PenTile方式の有機ELでは、サブピクセルがRG(赤緑)またはBG(青緑)の組み合わせで構成されるため、同じ解像度ならPenTile配列の方が精細さでは不利になる。ただ、今回紹介した有機EL搭載機の解像度はQHDかHD。QHDの機種でも、文字や写真を拡大しても特段ぼやけては見えなかったので、実使用上で大きな問題はないだろう。

●より進化したシャープの液晶

 今回、ディスプレイで目立った進化を果たしたのがシャープのハイエンド機だ。ドコモのAQUOS PHONE ZETAとソフトバンクのAQUOS PHONE Xxは「S-CG Silicon液晶システム」を搭載。従来比で輝度が約2倍向上したほか、液晶に内蔵したメモリにより、静止画の表示中はCPUからの画像転送を停止して消費電力を抑えることができる。auの「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」はSH-09Dや106SHと同程度の輝度を実現する「高透過CGSilicon液晶」を備えるが、液晶内にメモリは備えていない。また、「AQUOS PHONE sv SH-10D」のCG Silicon液晶も、S-CG Siliconではないので液晶にメモリは備えないが、「チューニングにより、従来機よりも透過率や色再現性が向上している」(シャープ)という。液晶の表示能力を重視する人にはSH-09Dと106SHを特にオススメしたいが、ISW16SHとSH-10Dも視認性が大きく進化しているので、満足できるはずだ。

●ナビゲーションバーの採用で情報量が減る?

 今回取り上げている新機種は、「DIGNO DUAL WX04K」を除き、いずれもOSにAndroid 4.0を搭載している。Android 4.0では、ディスプレイ面に物理キーを搭載せず、画面下部のナビゲーションバーに[戻る]や[ホーム]などを仮想キーとして搭載することが可能になっている。今回取り上げたモデルでは、シャープ(SH-07Dを除く)、ソニーモバイル、パナソニック モバイルの端末が、この仮想キーを採用している。この仮想キー(ナビゲーションバー)は画面の一部を占有するので、その分だけ表示できる情報量が減ってしまう(動画再生時など、ナビゲーションバーは非表示になる場合もある)。例えばブラウザで表示できる文字数がそうだ。「Xperia GX SO-04D」は4.6インチHD液晶を搭載しているが、4.3インチHD液晶を備える「Xperia NX SO-02D」の方がブラウザで表示できる文字量は多い。ギャラリーやアルバムアプリから静止画を表示させた場合も同様だ。Xperia GXとAQUOS PHONE ZETAで確認したところ、画像を表示すると仮想キーは消えるが、ナビゲーションバー自体は消えず、HDサイズの画像を再生すると縦(左右)にも空白ができてしまい、全画面表示ができない。せっかくの大画面が生かされていないのは少々残念に感じた。

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