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双葉署一部機能 楢葉に 南双の警戒強化 来月にも道の駅に署員20人常駐

楢葉町の6号国道沿いにある「道の駅ならは」。駐車場は一時立ち入りのスクリーニング会場などに利用されているが、施設は休業している=31日

 福島県警本部は、東京電力福島第一原発事故で川俣町の福島署川俣分庁舎に置いている双葉署の機能の一部を10月にも楢葉町の「道の駅ならは」に移す方針を固めた。20人程度の署員を交代で常駐させ、双葉郡南部の治安に目を光らせる。楢葉町は、ほぼ全域が警戒区域から避難指示解除準備区域に再編され、日中の立ち入りが可能となった。ただ、夜間は滞在できず、住民から治安の悪化を懸念する声が上がっていただけに、地元関係者は歓迎している。
 双葉署の一部移転先となる楢葉町の「道の駅ならは」には署員約60人のうち、20人程度を交代で常駐させる。24時間態勢で、主に双葉郡南部の警戒に当たる。他県からの特別出向者で組織する「ウルトラ警察隊」や特別派遣の警察官の活動拠点としても活用する。
 道の駅は町振興公社が管理しており、原発事故以降、休業している。執務室をはじめ、宿直勤務に当たる署員の仮眠スペース、十分な駐車場がある。6号国道沿いにあり、警戒パトロールや事件・事故への即応態勢が取れることから移転先に選んだ。県警は、施設の無償貸与を受けられるよう町と協議を進める考えだ。
 双葉署は原発事故後、管内にある複数の駐在所に拠点を設け、24時間態勢で警戒に当たっている。ただ、本署機能を置いている川俣町の福島署川俣分庁舎から管内に入るには一時間以上かかるなど署員の効率的な運用が課題だった。
 さらに、先月10日に楢葉町の警戒区域が避難指示解除準備区域に再編されたほか、管内の町村で避難区域再編の動きが加速しており、双葉郡南部に拠点を設ける必要性があると判断したとみられる。
 福島署川俣分庁舎に置く本署機能は維持し、双葉郡北部をカバーする。
 ほぼ全域が警戒区域から避難指示解除準備区域に再編された楢葉町は、日中の出入りが自由になった。しかし、夜間の宿泊は禁じられており、町のほぼ全域は無人状態となる。このため、地元住民から窃盗や器物損壊などの犯罪が発生するのではないかと心配する声が出ていた。
 松本幸英楢葉町長は「警戒区域の再編で、町民は防犯面に大きな不安を抱いていた。双葉署の態勢が強化されれば、町民の治安に対する不安が払拭(ふっしょく)される」と期待を寄せる。

※双葉署
 県警本部の警察署再編に伴い富岡、浪江の両署を統合して平成22年4月から業務を開始した。管轄は広野、楢葉、富岡、川内、大熊、双葉、浪江、葛尾の双葉郡8町村。原発事故前は主に富岡町の双葉署が双葉郡南部を、浪江町の同署浪江分庁舎が双葉郡北部を担当していた。原発事故以後は住民の避難に伴い、本署機能を川俣町にある福島署川俣分庁舎3階に移した。

カテゴリー:福島第一原発事故

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