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世迷言

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☆★☆★2012年09月01日付

 言うべきは言う。守るべきは守る。国も個人もその存在を相手に認めさせるには、自らの意思を明確に伝えるべきなのに、戦後67年それを怠ってきたツケが見事に回ってきたのが領土問題だ。今からでも遅くはない。日本は自己主張する国に転ずべきだ▼「坊主が憎けりゃ袈裟まで憎い」というのは日本のことわざだが、これはそのまま韓国に進呈すべきだろう。日本憎しとなれば、日本の文化、文物その他すべてが憎いという存念をこれほどたっぷりと見せつけられると、法を説いて納得させるのは相手にもよると思う▼李大統領が、もはや日本は取るに足る相手ではないと公言するに等しい侮蔑的行為を全世界に示したことは、近所付き合いをやめてもいいよというシグナルと解釈すべきであり、ここまで貶められたのなら日本もそれなりの態度を示すべきだろう▼日本政府は、自国には不利だが韓国にとって経済的に大きな恩恵をこうむる通貨交換(スワップ)という協定の延長を白紙に戻すことを考えているようだが、それは断固打ち切りにすべきだ。利用価値のない国とみなされたのだから、そのぐらいの意地は見せる必要がある▼だが、日本国内といえば、相変わらずBS放送を主体に各局が韓流ドラマを何本も流し、韓流ポップグループも韓流スターも人気を集めている。そう、なにも袈裟まで憎む必要はないのだ。国益のために要所を押さえた対応はしても、瑣末な事にやたらと目くじらを立てるのは日本古来の醇風と作法に馴染まないからである。

☆★☆★2012年08月31日付

隣国の2国と領有権をめぐって対峙(たいじ)しなければならないという大事な時、その矢面に立つ首相を後押しするどころか、足を引っ張る問責決議などにうつつを抜かしている場合だろうか。大局を見失い小手先の戦術を弄している野党がおのれの姿を鏡に映したら、筑波山のガマよろしく、タラタラと脂汗が流れるのではないか?▼そもそも3党合意とはなんだったのか?その合意がなって消費増税法案が成立したのに、消費増税反対の中小野党7会派が提出した問責決議案に、あろうことか自民党が相乗り≠オて決議を可決したというのは、首尾一貫しないどころかまったくの論理矛盾と言う他はない。これが元責任政党のやるべきことだろうか?▼3党合意後の民自公トップ会談で「近いうちに」解散総選挙を行うという了解に達したその「近いうち」がいつになるのか、それぞれの都合や期待で解釈が異なるのは当然だが、野田さんが言葉を濁して泥の中に潜り込むのを見逃し、約束が違うと谷垣さんがわめくのは、「おぼこ」すぎよう▼解散総選挙を早めるために問責決議を行おうという戦術は妥当としても、可決に持ち込む数合わせのため、元々消費税増税には反対の7会派による別の問責決議案に自民党が乗ったというのはご都合主義もいいところで、退いた公明党の方が筋が通っている▼敵失に乗じて点数を重ねる好機に、隠し球でアウトを狙うような姑息さは、自民党がすっかり野党なれしてしまい、大事な結党の理念まで失った結果のようで情けない。

☆★☆★2012年08月30日付

 中国へのODA(政府開発援助)継続を主張したり、尖閣諸島購入の動きに対し「日中間に重大な危機をもたらす」などと発言してその迎合ぶりが際立っていた丹羽宇一郎中国大使の乗った公用車が中国人に襲われ国旗を奪われた事件で、もっとも悔しい思いをしているのは当の丹羽氏だろう▼天下の公道で一国の外交官に対するあきれるほどの無法が繰り広げられたというのは、舞台が無法国家であることを全世界に知らしめたに等しく、中国政府が自国にとっても国辱的となったこの行為をまさか等閑に付すわけにはいくまい。もしこれが逆だったら中国全土が炎上≠オたはず。国旗をないがしろにされて怒らぬ国があるわけがない▼だが、にもかかわらず野田政権は外務副大臣に親書を携えて中国政府のご機嫌伺いをさせた。なぜそこまでへつらう必要があるのか?だからこそますますなめられて、属国扱いされるのである。こと日本に関しては何をしても許されるという誤ったメッセージを発信してしまった歴代政府の負の連鎖はここいらで断ち切る必要があるのにだ▼それにしてもこの品位のなさはどうであろう。こんな暴挙は許されない、国際的に恥ずかしいという意見はごく少数で、よくやったと賞賛する声が圧倒的に充ち満ちているという状況は国家の品格が問われて当然▼しかしその品格を問われて恥ずかしいのは日本も同じだろう。体当たりをしてでも車を停めずに国旗を守る気概すらない大使と、断固毅然たる態度も取れない国であるという点で。

☆★☆★2012年08月29日付

 香港人の反日活動家らが尖閣諸島に上陸し、日本政府が逮捕・強制送還して以後というもの、中国各地で反日デモが相次いでいることについて、これが自然発生的なものかどうか、わが国のメディアはきちんと検証することが必要なはずだが、どうも現象面だけに目を奪われて本質を捉えていない気がする▼本来中国の官憲が許すはずのない過激なデモ行為を封じ込めないのは、それが日本車を壊したり日本料理店を襲ったりと攻撃対象が日本に限定されるからであり、それこそまさしく官許≠フ証拠だろう。あるいは民衆の不満をそらす一種のガス抜きかもしれないが、いずれ尖閣諸島の位置も歴史も知らぬ烏合の衆が多数交じっている可能性は否定できない▼そんな中国のある地方の高校生たちがデモに参加し、日本なんて大嫌いと気勢を上げている新聞記事を見て、どこか違和感を覚えるのも、参加の必然性が感じられないからだろう▼若い参加者たちそれぞれが手にしているカードの文句が自発的に書かれたものか、どこからの支給品≠ネのかは知るよしもないが、参加者の1人が敵意をむき出しにして日本製品のボイコットを呼びかけていたという記事には、どうしても参加者の感情が自然に伝わってこないのはなぜか?▼特派員たちには、どこそこでデモがあったという事象を表面的に伝えるだけでなく、奥に潜むものをぜひ分析してもらいたいものである。いくら反日教育が徹底していてもそれだけで全国民が反日となるだろうか、ということである。

☆★☆★2012年08月28日付

 野田総理は、いわゆる従軍慰安婦問題について、今後も引き続き「河野談話」を踏襲していくと発言した。領土問題で自国の権利を明確に主張し、見直されたばかりなのに、その舌の根も乾かぬうちにまたもや「配慮外交」に戻してしまったことは必ずや憂いを残すことになろう▼「従軍看護婦」、「従軍記者」という言葉は小さい頃から耳になじんでいたが、「従軍慰安婦」という職業など聞いたことはない。しかしその言葉がいつの間にか一人歩きし、そんな存在が実在したかのような発言を宮澤内閣当時の河野洋平官房長官がしたものだから、この談話が「動かぬ証拠」となってしまった▼韓国女性を慰安婦として強制連行した事実などないことは、なんら史実も明確な証拠もないことからも明らかだが、河野長官が当の慰安婦の証言だけを信じて事実と認めたその無責任さは、日本国内でこそ非難されているものの、韓国では鬼の首を取った形となった▼案の定、以後日本政府公認の史実≠ニ化し、韓国から謝罪せよ、賠償せよと責め続けられているのは周知の通り。ソウルの日本大使館前には記念碑まで建てられ、もはや日本の抗弁に韓国人の誰一人として耳を貸さなくなったのも、河野氏一人の責任というより、当時の自民党政府のあいまいさがもたらしたものだ▼もし強制連行を示す証拠があれば、日本国民は反省し、謝罪することもやぶさかではない。だが、多角的にその検証も考証も行わず、ただ漫然と踏襲するという態度はそれだけで問責に価するだろう。

☆★☆★2012年08月26日付

 当たり前のことをやってそれがニュースになるのだからおかしな国があるものだ。どこだって?日本という国だ。しかしその当たり前がようやく当たり前になったのだから、日本もようやく「普通の国」の仲間入りをしたようである▼「首相異例の領土会見」という昨日の新聞の見出しを眺めてそう感じた国民は少なくなかろう。竹島も尖閣諸島も北方領土も日本固有の領土であるという事実認識を首相が明確にしたというその会見が「異例」というところが、これまで日本が「普通でない」国であったことを意味する▼なにしろ民主党は竹島が不法占拠されている実態から目をそらし、不法占拠というべき文言を「法的根拠のない支配」と言い換える、まるで奥歯に物がはさまったような対応をしていたのである。相手に気づかうあまり自国の国益まで脇に置く「配慮外交」とやらが、いかに欺瞞に満ちたものか結果がすべてを物語っている▼野田首相は、柔道ならばともかく「押さば引く」外交姿勢は相手に誤ったイメージを与え、それが国家にとって重大な損失につながる危険性をようやく自覚し、戦後外交に通底してきた「事なかれ主義」と訣別する第一歩を印したことは評価したい▼外交とは、片手で握手を求めながら、後ろ手に棍棒を隠し持つ相手と渡り合うことだから、主張すべきは主張して絶対に弱みを見せないことである。ところが、相手の嫌がることはしない、口に出さないことがこの国の基本だったのである。その誤りにやっと気付いたようだ。

☆★☆★2012年08月25日付

 ディベート(論争)が嫌いな日本人は交渉も苦手だから、ついなあなあで事を収めようとするが、それが弱腰と見られてつけこまれるという歴史を、国も個人も重ねてきたように思う。韓国のこの隣国に対する居丈高な態度もその延長線上にある▼就任早々は、日本での生活経験もあるだけに日本びいきと思われていた李明博韓国大統領が、最近になってこれみよがしに竹島を訪問したり、天皇に謝罪を求めたりとにわかに豹変しだしたことに日本人は驚いた▼それが落ち目な人気回復の手段とは言え、あまりにも配慮に欠けていたことは国際感覚上いや常識的に見ても明らかである。竹島の帰属にしろ従軍慰安婦問題にしろ、根拠があるなら示せというのが日本のスタンス(立場)で、それには応じずに問答無用と言うだけでは説得力を欠く▼野田首相の親書を読まずに返送し、その受け取りを拒否されると今度は郵送で対抗というのは、どう見ても大人の対応ではなく、衆人環視の中でこの行動は自らの存在を矮小化することにつながるだろう。唇歯輔車の関係にある隣国同士がこのように角を突き合わせるマイナスをどうして熟考しないのだろう▼相手が弱いと見ると嵩にかかるような態度は慎むべきで、いかに骨抜きとなった日本人とはいえ、度が過ぎれば降りかかる火の粉を払わなければならなくなる。こうした時、日本の一部メディアは「冷静に冷静に」と常套文句を繰り返すが、考えてもみたい。冷静になってほしいのはお隣さんの方なのであることを。

☆★☆★2012年08月24日付

 これからは地域エゴならぬ「地域エコ」を考えるべき時だろう。生態環境の保全という意味でのエコロジーと、物を大切に使うエコノミーとの相乗化を国頼みにするだけでなく、地域自身が考えていくべきだというのがその提案だ▼例えば再生可能エネルギーは風力、太陽光などさまざま挙げられているが、いずれも膨大な投資が必要であり、被災地に夢を与えようという「スマートシティ構想」も、いざという段になると財源をどうするかがネックとなって空中分解しかねないあやうさがある▼しかし以前本欄で紹介した福島県の実例のように、森林資源が豊富な本県もバイオマス発電の研究開発に本腰を入れて取り組むべきだろう。間伐材を利用した発電は、美林の保護にもつながり、いずれ木材需要の活発化と市況の安定という状況が生まれると相乗作用は一段と増すはずである▼しかし環境の美化という点から捉えると、間伐材だけでなく林地残材や、製材時に出る樹皮やおがくずその他も燃やして残らずエネルギーとする方法も工夫する必要がある。熱効率だけ考えると間伐材以外はゴミに分類されかねないからだ▼だからこそバイオマス発電を単純化して考えず、例えばいま再び脚光を浴びている「スターリングエンジン」との連動なども視野に入れていいと思う。密封したガスを熱して動力を取り出すこのエンジンは、高カロリーの木質部だけを使う必要がないからで、まだ発展途上にあるシステムだが、今後の可能性を研究して見る価値は大いにある。

☆★☆★2012年08月23日付

 自分の国を愛せばこそ自国のためになることは支持し、反することには異を唱えるのは自然の理だが、戦後はそれが「偏狭なナショナリズム」と烙印を押される。しかしいくら偏狭と言われようと領土問題に関しては帰属の正当性をどんどん主張しまくることだろう▼北方領土が日ソ中立条約を一方的に踏みにじって参戦≠オ、どさくさまぎれに占領したソ連、現ロシアのいまだ実効支配下にあるのはまさに不法を絵に描いたようなもので、いくらメドベージェフ首相が島を訪問して見せてもそれは領有権を証明することにはならず、いずれ日本国民は4島一括返還を勝ち取る覚悟を捨ててはなるまい▼竹島は元々固有の領土として世界が認めていたにもかかわらず、これまた戦後のどさくさにまぎれて韓国の李承晩大統領が勝手に李ラインを引いて自国領としてしまった。しかし当時の日本政府はその横紙破りを許してしまい、その結果島の領有だけでなく漁船の拿捕を繰り返すなどの横暴をただ指をくわえて見ていたのである▼当時、当方などしきりに悔しい思いをしたのだが、敗戦で気力を失っていた国も国民も実力行使はおろか、外交でも正面から渡り合う積もりなどなかったのだった。そのツケが今に回っているのであり、敗戦とはかくも惨めな結果をもたらすものなのである▼尖閣諸島も同様で、周辺に石油などの豊富な海底資源が埋蔵することが判明してから中国が色気を出し始めたのは周知の通り。このように主張しなさ過ぎが禍根を残したのである。

☆★☆★2012年08月22日付

 JR大船渡線の復旧について大船渡、陸前高田両市ともBRT(バス高速輸送システム)での仮復旧を容認することになったのは、鉄路での復旧がきわめて困難な状況での現実的対応といえよう▼被災した気仙沼線、大船渡線、山田線とも当初は鉄路での復旧が地域の圧倒的な要望だったが、時間の経過と共に山田線を除いてBRTでの復旧もやむなしと傾いてきた。車を持たない交通弱者の救済という喫緊の課題が、切実な声となって広がり始めてきたからである▼あくまで鉄路にこだわる山田線の沿線自治体とは異なり大船渡線の復旧に両市ともこだわりを捨てる対応をとらざるを得なかったのは、足の確保もさることながら将来の予想街区と既存の路線との位置関係が変化し、利用環境の見直しが求められるようになったからだ▼新しい街区が高台に構築されるのに、路線が従来のままでは利用に不便をきたすのは明白で、陸前高田市が専用路線ではなく高台を走る新ルートを要望しているのはそのためだ▼気仙沼線では20日からBRTによる専用路線での運用を開始したが、実際はまだ約2`の区間だけで、6割は専用路線を使う計画というものの、その先はまだ漠然としている▼実際、その20日に気仙沼線に沿って北上してみたが、鉄路の復旧に匹敵する投資が必要ではないかと思えた。専用道は定刻運行に必要だろうが、問題もある。それよりは一般道を走らせ、浮いた費用や使わぬ敷地を有効活用した方が得策ではないかと思えてならないのである。


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