昨日7日、JR東海は構想のリニアモーターカーによる中央新幹線の一期分、品川駅~名古屋駅間の概略ルートと、駅の設置位置の案を公表しました。
まずルート。
- 出来る限り直線に近いルートを取り、山梨リニア実験線はそのまま営業線として用いる
- 最小曲線半径は8000m、最急勾配は40‰
- 大都市部は大深度地下を通す
このような制約と方針のもと大まかなルートが示され、長野県の諏訪を通すとか、南アルプスをトンネルで抜けるのか、でもめていた山梨県~岐阜県のルートは、南アルプス直線トンネルルートの「C案」となりました。
線路、最急勾配が40‰ですか。磁気浮上式の鉄道は勾配に強いのが特徴ですが、時速500kmで40‰を走り抜けると、もろ「G」を感じるのでは。現在の東海道新幹線で垂井町から関ヶ原町にかけて例外的に25‰の勾配があり、そこの勾配変化点を時速200kmで走ると、エレベータの動き始め、動き終わりの様な感じがします。
また駅の設置位置は、起終点の品川駅と名古屋駅の他は、経過地の各府県に一駅を設けることとなりました。そして、
- 大深度地下を使用できる地域以外は地上駅を基本とする
- 駅構内は2面4線島式ホームを備え、上下亘り線を設置する
- そのため1kmの区間が平面線形で直線、縦断線形で水平であること
- 乗り換えの便を図り、既存の駅と近接していること
他にもまだ条件はありますが、大まかな点はこんな感じです。
そこで示されたルートと駅の駅を文章で書くと、先ず品川駅。地下駅です。私が当初思っていた現在の品川駅と直交し、東西にリニア新幹線の駅を設置するのではなく、並行して駅を設置し、リニア新幹線は一度南へ向うルートです。
品川駅を含め東京都内は大深度地下を地下を通し、徐々に西に向き、多摩ニュータウン南端を通り、神奈川県相模原市の橋本駅付近へ。相模原市の駅は地下に設置する。
相模原市からは更に西へ丹沢山系を抜け、山梨リニア実験線へそのままつなげるルート。山梨県内は、既存駅との接続で、身延線が通る中央市に駅設置の案が示されています。
山梨盆地からは、盆地西部の巨摩山地が軟弱な地質で、直線ルートと言いながらも一度南西方向へ向き、巨摩山地を避ける様に山地南部を通過。南アルプスを長大トンネルで抜けるところまでは概略ルートで示されております。
その先の長野県飯田市近くを通る伊那谷の区間は、まだルートが示されておりません。地元では飯田駅付近に駅設置希望であるも、伊那市ではもっと北寄りを希望しているとか、高森町に造るとか言われており、長野県部分はまだ調整が済んでおりません。
長野岐阜県境は中央アルプスの南端部分を通り、岐阜県中津川市の北部から西部を通り、中央本線の美乃坂本駅付近へ。概略ルートでは駅名は一切書かれていませんが、JR中央線の既存駅に近接とあり、美乃坂本駅以外ありません。ここは高架駅で計画し、近くに車両基地も計画されております。
中津川市からは中央本線の北側(西側)を通り、岐阜県多治見市の市街地を避け、愛知県へ。愛知県の平野部は全て大深度トンネルで抜け、愛知県名古屋市の既存JR名古屋駅と直交する様にリニア中央新幹線の駅を設置。
ここまでで確定しているのは、品川駅と名古屋駅の位置、それと営業線に転用する実験線だけです。品川駅はどの辺りに造るのだろう。大深度だからいい様なものの、あの辺り高層ビルが増えている様ですね。
名古屋駅。ここは建て替え計画の新・名古屋ターミナルビルで、建物基礎の上部に地下階ではあるものの、何が入るのか示されていない階が幾つかあります。この何も示されていない階はリニア新幹線の躯体であるとのウワサを聞いたことがあります。真偽は分かりませんが、実際問題、既存名古屋駅と直交するのであれば、あそこしか空間は無さそうですね。
中間駅はこの設置案通り設置されるかどうかは分かりません。JR東海は地上駅で約350億円、地下駅で約2200億円もの費用を全額地元負担で求めております。これどうなのだろう。仮に地元が一切お金出さないので駅は要らない、となって品川~名古屋間に運転整理できる場所が無かったら、なにかあった時どうします?
中間駅は単に地元の利便性だけでなく、運転扱いにも必要なもので、全額地元負担とは如何なものであろうか。ホームとか駅舎とかそういった設備に地元負担で、停車場はJR東海にとっても有益なもので、もう少し減らせそうです。
が、この350億円というのは、この駅の旅客関係設備の設置費用のことだろうか。
先日は国土交通省から建設の指示があり、中央新幹線リニアモーターカーは第一歩を踏み出しました。品川~名古屋間は2027年の開業予定。新大阪までは2045年の予定を前倒ししたいとのことですが、本当に2027年の部分開業に漕ぎ着けられるのであろうか。なにかまだまだハードルが出てきそうです。
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