ニュースランキング

'12/8/27

広島城天守閣、完成年判明



 原爆によって倒壊した広島市中区の広島城の天守閣は、遅くとも1592年には完成していたことが分かった。広島城の学芸員が東京大に所蔵されている当時の武将の手紙に記されていることを突き止めた。専門家は「未知だった部分を解明する、極めて重要な史料だ」としている。

 武将は常陸水戸(水戸市)の平塚滝俊。豊臣秀吉の朝鮮侵略の役に参加するため、1592年(天正20)年に京都から侵略拠点の肥前名護屋(佐賀県唐津市)へ向かった。

 手紙は4月22日に到着した直後につづったとみられる。道中に見た広島城の石垣や天守閣を「見事なること申すに及ばず候」と書き記している。

 書面の写しを東京大史料編纂(へんさん)所が保管。指定管理者の「市未来都市創造財団広島城」の篠原達也学芸員(45)が今春、同編纂所のデータベースで記述を見つけた。篠原学芸員は「4月上旬には完成または、それに近い状態だったと考えられる。東国の武将の史料から手掛かりが見つかるとは思いもしなかった」と話す。

 広島城は1589年、毛利輝元が築城に着手。城下町を含む城全体は1600年に完成したが、広島藩の地誌「芸藩通志」にも天守閣の完成年は記録がない。毛利氏を研究する県立広島大の秋山伸隆教授(日本中世史)は「城の成立を考える上で役立つ」と評価している。

 天守閣は原爆で破壊された。現在の天守閣は1958年に建てられた。

【写真説明】昭和初期ごろ作成された絵はがきに写る初代の広島城天守閣(広島城提供)




MenuNextLast