政府は尖閣諸島(沖縄県石垣市)の3島を9月中旬に地権者から直接購入するため、最終調整に入った。 
 現在は個人が所有し総務省が賃借している魚釣島、北小島、南小島を20億5000万円で一括購入する方針。 
 先に購入に動いていた東京都が、国有化容認の条件に挙げている漁船の待避施設の整備は見送る方向の 
 ため、石原慎太郎知事らが反発する可能性がある。   
 政府は3日から地権者と契約内容などの詰めの交渉に入る。 
 まとまれば、11日にも関係閣僚会議を開いて国有化の方針を確認し、購入経費に今年度予算の予備費を 
 充てることを閣議決定する。その後に地権者と契約を結ぶ段取りを描く。   
 政府は8月の香港活動家らの尖閣上陸事件では、容疑者を強制送還して早期収拾を図った。 
 国有化の動きが加速すれば、領有権を主張する中国や台湾が反発を強めるのは必至だ。   
 尖閣諸島は5つの島と3つの岩礁からなる。 
 5島のうち大正島は国有で、久場島は防衛省が借り上げている。 
 今回の買い取り対象は残りの魚釣島、北小島、南小島。3島を国有化した後は、海上保安庁を管轄する 
 国土交通省が保有する。   
 石原知事らは日本の領有を明確にする狙いで、漁船の待避施設などを整備すべきだと訴えている。 
 政府は悪天候時に外国船が施設を利用しようとすれば拒めないため、逆に外国人の上陸が増えかねないと 
 いう理由で認めない方針だ。 
 施設整備を進めることで、中国や台湾を刺激するのを避けたいという事情もある。   
 都が購入に向け全国から集めていた約14億円の寄付金の扱いは引き続き検討する。 
 国庫への組み入れや、基金を創設して将来、自然環境保護を名目とした施設の整備に充てる案などが浮上 
 している。   
 尖閣の国有化を巡っては、4月に石原知事が都の予算で購入する方針を表明、政府も遅れて検討に着手した。 
 8月19日には野田佳彦首相が石原知事と会談し、国有化後の活用方法などを協議していた。 
 政府は8月に入って地権者との調整を重ねており、合意に向けた条件を詰めている。   
 尖閣諸島の購入を計画している東京都は2日、不動産としての価値などを調べるための現地調査を行う 
 予定だ。政府が上陸を許可しなかったため、調査団が船上から地形などを確認する。     
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS01011_R00C12A9MM8000/?dg=1