「偽バイアグラ」飲んで格安買春、高齢者の性の実態

隠された「老人たちの性」…高齢者が集まる宗廟公園と永登浦を取材

 高齢者たちの性行為は極めて自然な現象だ。しかし、度を過ぎた性的欲求は逸脱行為につながりやすく、性犯罪に発展しかねない。高齢者たちが常日ごろからコミュニティーを形成しているソウル市の宗廟公園と永登浦一帯で、一部の高齢者たちが性欲を存分に発散させている。その現場を取材した。

 「そのバイアグラは3錠で5000ウォン(約350円)。どこでも手に入る」

 8月1日午後1時、ソウル市の宗廟公園で出会ったキムさん(82)は「年寄りの中で“薬”を飲まないヤツなんていないだろう。金のあるヤツは本物(バイアグラ)を飲んで、ないヤツは偽物で我慢する」と話す。

 全国で最も多くの高齢者が集まるといわれている宗廟公園。同公園の公衆トイレには、便器に「バイアグラ、シアリス、女性興奮剤」といった宣伝文句と電話番号が書かれた名刺タイプの小さなカードが無数に貼り付けられていた。

■「偽物のバイアグラでもいったん飲んでみる」

 高齢者が集まる鐘路や永登浦では、いつでもどこでも「偽物」のバイアグラが手に入る。宗廟公園で出会ったキムさん(82)は「金さえあれば、(偽物の)バイアグラを買うのは店でガムを買うより簡単だ」と笑う。ヤンさん(78)は「(偽物の)バイアグラを6錠1万ウォン(約700円)で売っている。道路のこちら側では午後1時から5時までバイクが行ったり来たりしている。年寄りはたいていそこで買う。本物か偽物かは分からない。ひとまず飲んでみるわけだ」という。キムさん(80)は「鐘路3街の地下道の入り口に、痩せた年寄りが一人で座っている。その老人はバイアグラを売るので有名だ」と言った。また、「実は偽物でよければ、ソウル駅や竜山駅、東大門駅、鐘路3街駅などどこでも手に入る。中でも鐘路3街の地下道の老人は安く売ることで有名だ」と話した。

 現金の持ち合わせがない高齢者でも、偽物のバイアグラなら難なく手に入れることができる。高齢者を相手に売春して金を稼ぐ「おばさん」が、ヨーグルトと共に、偽物のバイアグラを「顧客を獲得する手段」として配っているためだ。

 宗廟公園の周辺で主に高齢者を対象に運営しているモーテルや旅館の客引きは、夕方になると路地に出てきてチラシを配り、高齢者に偽物のバイアグラを1錠ずつ握らせる。チョンさん(82)は「自分の旅館に泊まっていくようにと、薬(偽物のバイアグラ)までくれる。本当にいい世の中になったもんだ…」とつぶやいた。

ソク・ナムジュン記者
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