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9月1日0時現在においても楽天koboトップページには高らかに次の目標が掲げられている。
また、三木谷社長の発言も今一度引用しよう。
出版社との契約自体は終わっているが、出版社にチェックしてもらう作業が終わっていない。待ちがあるという状況だ。7月中には3万点をそろえられるし、8月末には6万点、今年末に20万点までいく。
当面のペースとしては、1日1000点ずつ増やす。コンテンツもマンガに限らず、テキストのものを増やしていく。
前回エントリ『7月中に3万点の約束もやっぱり反故にした楽天kobo』において楽天koboの口約束について糾弾しつつも、今後の挽回に期待を表明した。いよいよ8月末というマイルストンに到達したので、その目標は達成できたのか進捗を確認してみよう。
結果を言ってしまえば、2012年9月1日0時時点で日本語書籍のみを検索してみると結果は39,027件。目標の6万冊には2万冊以上の未達、達成率は65%に終わった。またしても約束は破られたのである。
しかも約束が破られただけではない。その中身を見てみると、消費者に誤解を与えるような水増しが行われていることが分かる。現時点で判明している手段を挙げると次のとおりだ。
青空文庫は著作権が切れた書籍をインターネット上で無料で公開する活動であり、koboでなくても誰でも無料で読むことができる。もちろん名作も多く含まれているが、著作権が切れたこれらの本を求める消費者は少数派だろう。これらは確かに日本語書籍ではあるが、書店品揃えの冊数としてカウントする場合、消費者に誤解を招く恐れがある。
2012年9月1日0時時点で日本語無料書籍を検索してみると結果は13,508件。実に1/3が無料書籍である。もっとも、この無料書籍の中には期間限定キャンペーンで無料化された本も数冊ながら含まれるのですべてがもともと無料で読める本というわけではない。
また、『質より量なんでヨロシク、楽天「Koboイーブックストア」がギターコード譜6363冊を日本語タイトルにぶっこみカウント : 市況かぶ全力2階建』で取り上げられたように、2012年9月1日0時時点ではギターコード譜が6,440件も日本語書籍としてカウントされていることが判明している。たしかにギターコード譜も日本語書籍なのかもしれないが、権利関係のわかりやすいギターコード譜を追加することでコンテンツ数の水増しを図っているのではないか、という疑念を抱かざるをえない。ギターコード譜を必要とする人もいるだろうが、一般的なユーザが書店に求めるコンテンツとは異なると言えるだろう。
さらに、『楽天「Koboイーブックストア」の日本語タイトルが3万冊を突破!うち1978冊は写真1枚を日本語書籍としてカウント : 市況かぶ全力2階建』で指摘されているように、2012年9月1日0時時点ではXGA以下の写真1枚から構成されるバーチャルアートという作品が1,666件も日本語書籍としてカウントされていることが判明している(先の1978冊という数字は検索キーワードが適切でないため検索結果にノイズが含まれていると思われる)。
これらはすべて奈良正美氏が提供している個人出版作品である。1冊50円という価格だが、写真1枚のみのコンテンツを日本語書籍としてカウントするのはかなり無理があるだろう。少なくとも一般的なユーザが書店に求めるコンテンツでは無い。
上記を考慮して、8月末におけるkoboの現状を正直に図示すると次のようになる。
現時点で判明している水増し分を差し引くと、8月末時点におけるkoboの通常の書店で流通しているような日本語書籍数は最大で17,413冊とカウントするのがよさそうだ。先行するGALAPAGOS STOREやReader Storeが7万冊程度の品揃えとなっていることと比較するといかにも貧弱である。このラインナップでは、ユーザが読みたいと思っている本を見つけるのは困難だろう。koboの購入を考えている人がいれば、この図を見て今一度考えて見ることをおすすめする。
上記の奈良正美氏が提供しているコンテンツはkoboとパブーとの提携により、パブーから提供されたものである。パブーは個人出版を扱う電子書籍サービスであり、自費出版の同人誌(メインはテキスト系)を取り扱っている。パブーには現時点で2万5千冊ほどのコンテンツが登録されており、その内のどの程度の数がkoboにも提供されているのか不明だが、こうしたコンテンツも上記総数には含まれることは認識しておく必要があるだろう。中には流通に乗るには品質が不十分なコンテンツも相当数含まれると見られる。
以上見てきたように、楽天の8月末6万冊達成というコミットメントは大きな未達となり、またその内訳を見ても相当数が水増しと捉えられてもおかしくないコンテンツで占められていることが分かる。
消費者は提示された品揃え冊数を見て、求める本がきっとあるに違いないという希望をいだいて電子書籍端末を購入するのであり、その数字が実態と大きく乖離しているのであれば、それは消費者を騙す誇大広告というしか無いだろう。姑息といっても良い。楽天という会社はこういう会社なのか、楽天三木谷社長はこういうやり方を是とするような人物なのか、残念で仕方がない。
P.S. 9月1日早朝にkoboトップページの日本語のタイトル増強計画は「早期60,000冊達成」という表現に改められた。数だけ揃えても意味が無いのだが。
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