浅漬け:食中毒の危険はどこに?
毎日新聞 2012年09月01日 11時28分(最終更新 09月01日 11時49分)
白菜の浅漬けを食べて、北海道内で7人が死亡した集団食中毒。病原性大腸菌O157による食中毒といえば「肉類が危険」との印象が強いが、実は野菜が原因となった例も多い。浅漬けのどこに、危険が潜んでいたのか。【大場あい、円谷美晶、山下智恵】
札幌市保健所が「高齢者施設で入所者が食中毒症状を訴え、死者が出ている」と発表したのは8月11日夜。その後、市や道の調査で、原因食品は給食で出た「岩井食品」(札幌市西区)の浅漬け「白菜きりづけ」と断定された。材料の野菜が納入前にO157に汚染され、製造段階の塩素消毒が不十分だったとみている。発症者は一般消費者らに広がり、約130人に上った。
野菜には水や土に由来するさまざまな微生物がついている。汚染源のひとつとして考えられるのが牛ふん堆肥(たいひ)だ。染谷孝・佐賀大准教授(土壌微生物学)によると、牛の数%はO157を保菌し、ふんと共に排出する。堆肥化の際の発酵が不十分だと、O157が死滅しないまま畑に使われる。無論、調理の段階でしっかり洗うか、消毒されていれば問題はない。