名古屋グランパスは玉田圭司(32)が後半34分にゴールを奪い、1−0で柏を退けて6位に上がった。前節2位の仙台は川崎を2−1で下し、勝ち点45で首位に浮上。広島は磐田と1−1で引き分け、同44でトップから2位に下がった。3位の浦和は大宮と1−1で同42とした。
◆名古屋1−0柏
負ければ優勝争いから脱落する崖っぷちで、途中出場の玉田がチームを救った。後半34分、ケネディのパスに走り込み、絶妙なワントラップから狙い澄ました右足シュートを左隅へ。「ジョシュア(ケネディ)がスピードを殺さないようなパスを出してくれた。オレは落ち着いて決めるだけだった」
ゆっくりとボールがネットへ吸い込まれると、ゴール裏のサポーター席へ向かってド派手にガッツポーズ。「忘れていたゴールの味を思い出した。ここまで長かった」と玉田。5月12日の神戸戦(ホームズ)以来、実に3カ月半ぶりの今季4ゴール目が勝負を決めた。
昨シーズン自己最多の14得点を挙げた男が、今季は一転してどん底まで落ちた。6月に痛めていた左足首の手術を決断。玉田は「痛みは完全にはなくならないと知っていた。不安はものすごくあった」と心中を明かす。玉田がリハビリに努めている間、エースを欠いたチームは低迷。8月11日の清水戦(アウスタ)に敗れると、玉田はこぼした。「ウチらしくない試合だし、外からこうやって言うだけの自分がもう嫌だ」
清水戦の翌週から痛みをおしてピッチに戻り、柏戦は復帰3試合目。「『勝ちたい』という気持ちが一層強くなる」と言う古巣を相手に決勝ゴールを決めて見せた。
ベンチスタートに納得する男ではない。「どんな試合も頭から出たい。結果を出すことで監督の考えを変えていきたい」と語る。チームは6位に浮上。玉田の逆襲とともに、奇跡の逆転Vがおぼろげながら見えてきた。 (木村尚公)
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